将来ブリーダー業を開業したい!と考えている方は経験を積むためにすでに開業されているブリーダーに弟子入りをする、アルバイトとして勤務するという方法があります。もちろんこの時、「良いブリーダー」のもとで勉強することは絶対条件です。では良いブリーダーとはどのように見分けることが出来るのでしょうか?ここではブリーダーのあるべき姿をご説明させていただきます。
■ブリーダーの開業は届け出制です
動物愛護法が制定されて以降はブリーダー業を開業する場合、自治体に届け出を行い、動物取扱業の許認可を得る必要があります。
この許認可を取得するためには運営責任者の経験や資格、飼育に適した環境など様々な条件があります。この許認可を得て初めてブリーダーは有償で動物の売買をすることが認められます。
ブリーダーの中にはこの許認可の手続きを踏まずに、無断で開業されている方もいますが、今後ペットを取り巻く環境がよりよいものに変わるために大変重要な仕組みであることを理解し、正式に開業許可を得ていることが「良いブリーダー」の絶対条件と言えます。
許認可を取得しているブリーダーは広告や名刺、HPなど様々な場面で許認可番号を掲示しています。この許認可は5年ごとの更新制なので、番号と合わせて有効期限を掲示される方もいます。この記載があることで許認可の有無を外部からでも確認することが出来るので、ブリーダーを見分ける際の基準になるでしょう。
■犬猫への愛情や熱意だけではなく、飼育環境で判断をする
ブリーダーを始めるきっかけは大抵の場合、犬猫への愛情があります。しかし仕事として飼育をするうえでは単なる愛情だけでは継続することが出来ません。犬猫の飼育は想像以上に手間暇がかかり、お金もかさみます。その上期待していたほどに売り上げにつながらないこともあります。
場合によっては大きな負債を抱えることもあります。
多くのブリーダーにとって今は犬猫販売で収益を期待できる時代ではないのです。そのため「良いブリーダー」で居続けることはとても大変なことです。
良いブリーダーとは
・日々施設を清潔に保っていること
・健康を維持出来る食生活を送らせていること
・十分な運動をさせストレスを発散させていること
・必要な医療措置を講じていること
・繁殖適齢期を過ぎた犬猫の世話にも真摯に取り組んでいること
・誠実な姿勢で犬猫の販売に取り組んでいること
などを指します。これらのすべてを実践することは想像以上に難しいことです。特に衛生管理です。犬舎、猫舎は毎日過ごしていると徐々に清掃がおざなりになりがちです。忙しさや他業務との兼ね合いで掃除が後回しになってしまうこともあります。
しかし犬舎猫舎の汚れは犬猫の糞尿によるものが多く、日が経つにつれて悪臭が発生します。当然犬猫はこの環境でストレスを募らせ、伝染病も発生します。近隣からは悪臭に関するクレームも生じるでしょう。
人手が足りない、経済的に厳しいなどのブリーダー側の事情はなかなか通用しません。
このような悪循環に陥ってしまうと、簡単には解決できません。劣悪な環境で生まれた犬猫や伝染病の発生が起きている犬舎、猫舎からは誰も犬猫を購入しないでしょう。ますます経済状況は悪化します。餌代などの飼育費用の出費ばかりがかさむという状況では前向きに仕事に取り組むことも出来ません。
良いブリーダーで居続けることは想像以上に難しいことですが、その中でも居続けることが出来ている方は大勢います。将来ブリーダーを目指すうえでは、愛情という観点からだけでなく、広い目で状況を見極め判断をしましょう。
■アルバイトへの待遇もきちんと確認をする
ブリーダーの中には犬猫の世話をするアルバイトを採用する方もいます。終日勤務の場合もあれば、朝夕の繫忙時だけ数時間というパターンもあります。
このような仕事はブリーダーの仕事の実情を知り、将来のための経験を積むいい機会になります。
中にはドッグショーへ熱心に挑戦されている方もいて、大変参考になるでしょう。専門学校や通信講座では学ぶことの出来ない現場での勉強をすることが出来ます。
ただこの時、アルバイトである従業員への待遇がきちんと整備されているかは見極めなければなりません。
ブリーダーの多くは個人開業です。会社形態になっていないので、給与待遇が曖昧になりがちです。特に時給計算で給与支払いを契約している場合、勤務時間の管理が曖昧になりがちです。アルバイト側もつい動物への愛情が上回ってしまい勤務時間や給与に関して多少のことは我慢してしまいがちです。
でも「良いブリーダー」であれば犬舎猫舎を運営する上で、人手がいかに重要かは実感しているはずです。アルバイトを採用する時点できちんと態勢を整えておくことが出来ているものです。
動物への愛情や時には不憫さから仕事を請け負ってしまうこともありますが、将来のためには「良いブリーダー」を見極め学びの時間を作りましょう。

ペット業界キャリア25年以上。生体販売、トリミング、トレーニングと幅広い経験があり、国内最大手のペット関連企業本部企画業務を10年担当。ペット関連雑誌、サイトへの執筆実績も多数。資格は、トリマー、トレーナー、アロマセラピスト他、幅広く保有。現在は、ペット業界の求職者に向け執筆活動中。