動物看護師

動物看護師の点滴管理(血管確保・Drip)

投稿日:2018年7月4日 更新日:

動物の治療に欠かせない点滴。様々な病気で点滴治療は動物の命綱です。

疾患別に使用する点滴(輸液)や手技も様々です。今回は動物看護師の点滴管理についての注意点や点滴治療に当たる獣医師や動物への配慮で最も注意が必要なことや気をつけて欲しいポイントに分けてお話していきたいと思います。

血管確保・保定

点滴治療を始める前に動物の血管確保をします。留置針という医療器具を使い血管に針を刺し血管に入ったら針を抜き針の回りにある透明の管だけ血管の中に残し固定します。人の場合も同じです。しかし人の場合と動物の場合で大きく違う事があります。それは動物が動く事です。動物はなぜ動くのでしょうか?

●言葉が通じないので何をされるか分からない恐怖

●動かないように体を保定される違和感や警戒心

動物は想定外の事をされる事に恐怖や違和感を感じ身を守るために暴れたり凶暴になったりします。そこで動物看護師は獣医師が留置をしっかり血管内に入れ血管確保出来るよう動物が不安で暴れないよう保定しなくてはいけません。

では留置がうまく血管内に入らなければどうなるか?

●点滴の液が皮下に漏れ腕や脚が腫れて痛みがでる

●点滴の液が血管内に入らず治療の効果がでない

●留置の入れ直しで動物にストレスを与えてしまう

点滴をしたことがある人なら理解できるかも知れませんが、皮下に漏れると内出血したり痛みが出ます。動物は人と違い皮下に余裕があります。たとえば腕(前足)に留置を入れた場合、腕(前足)だけではなく足先から肩付近まで点滴の液が漏れ出し腕(前足)全体に痛みがでて浮腫んだ状態になります。それが気になり留置を自分で噛んで取ってしまうのです。

点滴液(輸液)・ラインの準備・確認

次に動物看護師として重要な事が点滴液(輸液)の準備・調剤です。疾患別で使用する・使用できる点滴液(輸液)が異なります。入院もしくは通院で点滴を受ける動物の状態を把握し獣医師の処方・指示に従い準備します。その時に注意する事は、「輸液の種類が間違いではないか?」「輸液の中に入れる薬の間違いがないか?」の確認です。

私が勤務していた動物病院では指示を受けた動物看護師が準備した輸液を調合する薬等を中に入れる前に他の動物看護師もしくは獣医師からチェックしてもらう二重チェックを徹底していました。調合する薬1つ間違えるだけで動物の命に関わる大事な確認です。

ラインとは点滴液(輸液)と動物(患者)を繋ぐチューブ(もしくは管)の事を指します。調合した輸液をライン(チューブ)に通しライン(チューブ)に空気が残らないように輸液を流します。

空気が残らないように輸液をチューブに流す意味とは?

どのような事が考えられますか?答えは2つあります。

①空気がチューブに大量に残っている場合は輸液が上手く流れていかない。

②空気が動物の体内に大量に入った場合、動物の体に大きな負担がかかる為。

②番のように空気が動物の体内に入ってしまうと疾患によっては命に関わる事もあるので点滴のラインの空気抜きはとても重要です。

皮下点滴

皮下点滴とは、動物は人より皮膚に余裕があるので、背中の皮下に点滴の液を入れることが可能です。ではどの様な場合に皮下点滴が利用されるのでしょうか?

血管からの点滴で状態が落ち着いた時や血管からの点滴が不可能な場合に用いられる手技です。腎不全や脱水症状が酷い場合など定期的に水分補給が重要な病気に多く用いられる方法です。皮下点滴を行う際に動物看護師が注意しなければならない事があります。

●動物が動かないようにしっかり保定をする

●皮下に刺した針穴から液が漏れていないか?確認

●動物は皮下に液が入る事で違和感を感じ凶暴になる場合があるので予めエリザベスカラーや口輪などの対策をする。

飼い主が医師や看護師、医療関係者である場合、動物の場合病院に来ることでストレスにならないように皮下点滴を自宅で飼い主ができるように指導する事も動物看護師の役目でもあります。

動物の様子

通院や入院中の点滴管理において重要なのは点滴をしている動物の様子です。上記に記載した血管確保で輸液が血管の外(皮下)に漏れて留置の周りの皮下が腫れていないか?動物が留置を気にして噛んでないか?など注意が必要です。動物の点滴は体が小さい分、人より時間をかけて点滴を流します。体重によって一時間の点滴の量が決まっているのです。

点滴を流す機械を用いてる場合は機械が管理してくれますが、「自然落下」といって点滴の機械を用いない場合に決められた速度以上に早く流れてしい動物の体に大きな負担をかけ最悪の場合、死に至るという危険が伴います。心臓疾患など点滴が大量に流れてしまえば心臓に大きな負担となるわけです。点滴の機械の台数が限られている場合は、疾患によって優先順位を決め上手く機械を活用した方がリスクは減ります。

まとめ

いかがでしたか?動物看護師の点滴管理について参考になったでしょうか?

言葉が通じない動物にとって点滴はストレスになります。自分の病気が理解できないからです。狭いケージに入れられ痛い思いをしてチューブに繋がれている状況にパニックになる動物は少なくありません。少しでも動物の不安や恐怖を取り除けるように動物看護師は声をかけたり、「点滴が漏れていないか?」「痛がってないか?」など動物の様子を見ることで動物は安心します。点滴を受ける動物の疾患によって重視することは、異なり、注意する事はたくさんあります。ちょっとした動物の変化に気づける動物看護師を目指し日々学んで欲しいと思います。

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