動物飼育係

動物飼育員の現状と将来性

投稿日:2019年3月7日 更新日:

動物園や水族館での仕事に就く動物飼育員の仕事は、日ごろなかなかその仕事ぶりを目にする機会が少なく、現状の課題や将来性についての情報が不足しがちです。

中には専門学校の講座として現役飼育員から話を聞くことの出来るカリキュラムが用意されていることもありますが、全国的にみるとごくまれなケースと言えるほどです。

ここでは、これから動物飼育員を目指したいと考えている方へ現状の課題と将来に向けた取り組みについてご説明させていただきます。

■ベテラン飼育員の不足、定年が大きな課題

実はここ数年、動物飼育員の世界も「人材不足」「後継者不足」の問題が持ち上がることが増えています。

動物園の多くは自治体が運営しており、飼育員は自治体職員でもあります。そのため定年や移動で長年の経験や知識を持つ方が職場を離れてしまうことがあります。

もちろん事前に後継者の育成には取り組むものの、動物の飼育はただ手順をまねる、同じ作業を引き継ぐというだけでは必ずしも成功しないデリケートな仕事です。

動物への細やかな目配り、コミュニケーションがとても大きな意味を持ちます。

人工的な環境での飼育がむずかしいとされる動物、健康管理が難しい動物、種の保存を目指す動物の飼育はまさにベテランの経験が必要です。

この点は各自治体や施設が様々な方法を検討し、解決を目指すべく取り組んでいる課題です。

■意外にも希望者が少ない仕事

動物が好きという方なら、誰もでも一度は動物飼育員という職業に憧れを持ったことがあるでしょう。

しかし実際には様々な理由から就職希望者の数が少なく、離職率も高いことが実情です。その理由は様々あるものの一例を挙げると

・給与待遇面が厳しい

・求人の件数が少なく、希望する時期に求人がなかった

・専門的な知識を学ぶことが出来る学校、環境がなく進学時に方向性を変えた

・就職はしたものの、体力面で無理だと感じた

・希望する職種、担当に就くことが出来なかった

等があります。

動物飼育員の仕事を目指す方の中には、具体的な動物への愛着がある方も多いでしょう。そのため自分の希望が大変明確で、方向性の違いや希望の実現にはたくさんの経験と時間が必要という事を痛感し離職してしまう方もいます。

動物飼育員が扱う動物たちは家庭で人間と暮らすことに慣れているペット達とはまるで別物です。

あくまでも野生であること、野生に近い環境を維持し続けることを大前提に考えられています。

仕事として従事して初めて接するのですから、事前の想像とまるで違ったと感じることも多々あるでしょうが、だからこそひたむきに熱心に取り組み続けることに意味が生まれると考えてゆきましょう。

■ますます高い専門性が求められる仕事

これまで国内の動物園や水族館の多くは、来場者を集め、収益を高めることを優先するがあまり、レジャー性が強く求められていました。

珍しい動物を展示することに重点をおき、動物の生態やあるべき姿が後回しになってしまったケースも多々あります。

しかしここ数年でこのような姿勢は変わりつつあり、ただ檻に入れ展示をするのではなく、あるべき姿、あるべき環境で生活をさせることへ方向転換が進みつつあります。

檻の造作はもちろんのこと、樹木の管理、食事の内容まで様々な工夫がされ、展示より観察をという流れもあります。

そのような中で、これから動物飼育員を目指す方々には、

〇動物の真の姿への理解

〇専門性の高い知識

〇何年もかけ知識、経験を重ねることへの覚悟

が求められています。

動物飼育員の育成に取り組む専門学校の中には、在学中に実際に施設へ足を運び実習をする機会を設けているケースもあります。

教科書や動画で見る動物達の姿と実際に目にする姿では様々なギャップがあります。時には驚き、不安、恐怖さえ感じることもあるでしょう。

動物飼育員として仕事に就くという事は、私達人間の側が動物を理解し、歩み寄ることが求められます。野生動物の生態はまだまだ未解明な部分も多いので、自ら関心を持ち、積極的に学び、経験を積む機会を設けましょう。

■海外で活躍する日本人も増えています

海外では野生動物の保護施設や医療施設、研究に携わる施設が多々運営されています。中には危険とされる動物や絶滅危惧種の保存、育児放棄された動物の人工保育など高度な取り組みをするケースもあります。海洋生物に特化した施設はその高い医療技術が注目を浴びることもあります。

実はこのような施設で活躍をする日本人の方が近年増加傾向にあります。獣医師や研究者はもちろん飼育員の方もいます。

これまでこのような海外での取り組みをされる方々との交流や情報交換は一部の専門家に限られていましたが、最近ではSNSを活用し様々なケースで交流が進んでいます。

これからの動物飼育員にはこのような広い視野を持ち、海外の事例や手法も積極的に取り入れた仕事の仕方、取り組み方も求められてゆくのでしょう。

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