動物飼育員の仕事は非常に専門性が高い職業です。扱う動物の多くは野生種でその生態もまだまだ未解明な部分がたくさんあります。もちろんマニュアルや医学書、専門学校の教科書では学びきれない内容がたくさんあります。
このような仕事に就くうえでやりがいと感じる点はどのようなものかをご紹介させていただきます。
■辛い・・・でも自分の役割があること
動物飼育員の仕事は「体力面がつらい」「勤務時間が長い」「仕事を離れていても動物達のことが頭から離れない」と感じることが多々あります。
野生動物を扱う上ではまだまだ試行錯誤をすることもたくさんあります。
時には日々の食事の世話や清掃、健康管理に加え、繁殖にも携わることもある仕事です。
でも本来野生環境で暮らすべく動物達を飼育し、人間の下で生活をさせる上では、飼育員に欠かせない役割がたくさんあります。
飼育員が熱心に取り組まなければ、動物達は生活を続けることも、種族を残すことも出来ないケースもあるからです。
大変な仕事ではあるものの、自分がやらなければならない役割が明確にあることがこの仕事の大きな「やりがい」と言えるでしょう。
■試行錯誤を重ねたことで成功に近づけた時
野生動物達は大変繊細で、必ずしも同じ種族だからといって同じ飼育方法が通用するとは限りません。
同じ肉食性の動物だからといって、同じ餌を好んで食べてくれるわけでもなく、時には種類だけでなく、裁断する際の大きさにまで気を配る必要があります。
動物飼育員はそれぞれの動物達の健康を維持するために、細部にわたるまで個々の生態を把握し、細かな工夫を積み重ねています。
もちろん動物自身の年齢や環境、季節、動物園の来場者の増減で精神的な負担が変ることもあります。
日々の仕事や先輩飼育員からのアドヴァイスのもとで試行錯誤をかさねた結果、成果を出すことが出来た時、動物飼育員としての自身の役割を実感すると共にこの仕事へのやりがいを強く感じるでしょう。
■人工保育と群れへの帰属
動物飼育員の仕事の1つに繁殖、種の保存があります。近年、動物園の役割はレジャー性の追求よりも動物の生態研究や種の保存にシフトしつつあります。
もちろん継続して動物園を運営するためには、自身で、自国で繁殖を手掛けることも大切なことです。
野生動物の繁殖においては基本的には親である動物自身の習性や判断を最優先すべきと考えられています。人間が手を加えるのは餌の準備や清掃、施設管理のみにとどめるべきだという意見が多々あります。
しかし中には動物園という特殊な環境での生活が長引いたことで、野生動物本来の習性が薄れてしまっている場合や初めての出産で戸惑いを感じ、親としての本能が追い付かないケースもあります。
そのような場面では動物飼育員が保育の一部を肩代わりし、誕生した子供を預かり育てます。いわゆる人工飼育に取り組むのです。
野生動物の人工飼育は、非常に難しく成功例もごくわずかです。手厚く保護をしすぎてしまえばその後の野生、群れへの帰属が難しくなり、かといって放置してしまえば当然悲しい結末を迎えることになります。
動物飼育員達はあくまでも一時的な手助けであることを心におき、日々の取り組みます。この仕事は日々成長する姿を間近で見ることが出来る上に、徐々にコミュニケーションが図れるようになることにたくさんの感動を得られるものです。
でもいつかは手放し、本来の生活に戻さなければというプレッシャーも大きい仕事です。それぞれの発育状態や健康面、性格など様々な要因が関係し、どのnタイミングで距離を置き始めるかも難しい判断を求められます。
ただこの仕事は、成長し自分の手元を離れ、群れや本来の生活環境に戻ることが出来た時に、何よりのやりがいを感じると多くの経験者が口にしています。
なぜなら生涯自身と共に過ごすことはできないのですから、本来あるべき場所へ戻すことが動物自身にとって最良の方法だからです。
もちろん別れを受け入れるまではお互いがつらい時間を過ごすこともありますが、成長した姿、本来の仲間と共に過ごす姿を目にするたびに自身の仕事の成果を実感することが出来ます。
■動物飼育員を目指す心構え
動物飼育員の仕事は非常に専門性が高い上に、必ずしも共通のマニュアルが通用する仕事でもありません。
そのため希望する職種に就くこと、希望通りの担当に就くには長年の経験と実績が必要とされます。
就職をしたのちは数年、数十年と見習い、勉強期間が続くこともあります。でもけっして安易に諦めずに、自分なりのやりがいを見つけ、日々の仕事に取り組んでゆきましょう。
もしも仕事に行き詰ったり、将来を不安に感じたり、転職を考えたりという場面に直面した時は、この仕事以上に熱意を持ち、やりがいを感じ取り組むことの出来る仕事があるのか?と考えてみましょう。
この仕事よりも楽な仕事、マニュアル通りに作業が出来る仕事、規則正しく時間が進む仕事はたくさんあります。
でも同じだけのやりがいを感じられるのか?をしっかりと考えてみましょう。

ペット業界キャリア25年以上。生体販売、トリミング、トレーニングと幅広い経験があり、国内最大手のペット関連企業本部企画業務を10年担当。ペット関連雑誌、サイトへの執筆実績も多数。資格は、トリマー、トレーナー、アロマセラピスト他、幅広く保有。現在は、ペット業界の求職者に向け執筆活動中。