動物看護師

動物看護師の保定(横臥位・仰臥位・腹臥位)

投稿日:2018年7月20日 更新日:

動物看護師の得意技ともいえる保定。

保定とは、処置を受ける動物と人の安全を保ちながら動物の苦痛を和らげるように保定して獣医師が診療しやすいように動物の動きを制御することを言います。動物看護師が動物を保定をする場面はたくさんあります。

では、動物看護師が保定を為る際にどんなことに気をつけなければいけないのか?保定をする場面別にお話していたいと思います。

診察時・処置の保定

診察時は聴診や触診、採血など保定をする事はたくさんあります。動物は環境が変わった事や病院にいるだけで怯え攻撃してくることもたくさんあります。動物によっては恐怖のあまり固まって体を硬直させ思うように保定が出来ないこともあります。動物看護師は動物の緊張や恐怖を取り除くように声をかけながら獣医師が診療しやすいように保定を行わなければなりません。そんな時に気をつけたいのは攻撃してきそうな場合は人や動物がケガをしないように予め口輪やエリザベスカラーを用いて保定をするように心がけてください。

各検査(レントゲン検査・エコー検査・心電図検査)

次に各検査での保定です。血液検査での保定は動物の行動を制御する保定に加え駆血という保定が必要とされます。駆血とは採血する際に採血をする四肢どれかの脚の血管を浮き上がらせるように握りながら採血の時に針が刺さることで動物は驚き暴れるので体の動きを制御しなければなりません。ここでの注意点は、保定の際に力を入れすぎると動物の状態によってはショック状態に陥る場合もあります。特に心臓疾患や肺の疾患での保定は最善の注意を払いながら動物の状態を観察して保定をするように心がけてください。

次にレントゲン検査やエコー、心電図検査の保定です。

レントゲン検査やエコー検査では動物の体勢が特殊です。横臥位・仰臥位・腹臥位といった動物の体を横向き・仰向け・腹ばい(うつ伏せ)の体勢を保ちレントゲン撮影をします。

▲レントゲン検査

レントゲン検査では、一般的に横向き(横臥位)・仰向け(仰臥位)での撮影が多いのが殆どです。しかし心臓や肺に疾患があるときはこの限りではありません。仰向けでは呼吸がしずらくなり呼吸困難になることもあるため腹ばい(腹臥位)の体勢で撮影することも多々あります。

▲エコー検査

エコー検査での保定は動物の病気によって保定方法は様々です。腹腔内の疾患、肺や心臓の疾患とでは体位も異なります。エコー検査でも動物の状態には十分気をつけながら保定を行います。

▲心電図検査

心電図検査は基本、右側を下に横臥位(横向き)で行います。検査が終わるまでは動物が動かないよう慎重に保定します。

動物看護師は各検査において動物の状態を観察しながら体位を調節したり、保定の力を緩めたり動物の状態を優先しながら獣医師が検査しやすいような保定を心がけるようにしてください。

まとめ

いかがでしたか?動物看護師の保定について参考になったでしょうか?

保定については獣医師が診療しやすいように動きを制御するのが目的ですが、一番気をつけなければならないことは動物の状態です。保定しすぎることで動物の状態が悪化したりショック状態に陥ることもたくさんあります。パニックになった動物から噛まれたり引っかかれたりすることも多々あるのでケガは絶えません。飼い猫や飼い犬だけが診療に訪れるとは限りません。野良猫や野良犬など人に慣れていない動物の診療は特に注意が必要です。

私も新人の頃は上手く保定が出来ず毎回と言って良いほどケガをしていました。傷だらけの腕や手を関係者以外に見られるのがとても嫌でした。保定する時には握力も大いに必要だと感じました。握力がないと暴れる動物の動きを制御している手がつったり痺れて保定が出来なくなることもたくさんありました。

保定もだんだんと慣れてくれば保定のコツが掴めケガが減ります。しかしコツを文章で表すのはとても難しいので先輩看護師の保定を観察し盗みながら保定の回数を経験することで身についてきます。率先して保定につき技を磨いて欲しいと思います。

予め口輪やエリザベスカラーを用いて保定をしていても予期せぬ動きをしたり動物が抵抗する時には全身を使い最大限の力を振り絞って暴れ抵抗します。保定の仕方によっては口輪やエリザベスカラーが外れるという事態にもなりかねません。

野良猫や野良犬の診療には普段より注意が必要です。野良犬や野良猫は普段から人に慣れておらず、体を触られることを嫌います。全身で拒否する動物の保定は至難の業です。特に野良猫はパニックのあまり平常心を失い平面な壁にでも這い上がってしまい人に飛びかかってきます。野良猫を処置する際には飛び跳ねたり人に被害を与えさせないように人用の洗濯ネットが有効です。

どの場面での保定も動物によって抑え方や接し方は様々です。普段おとなしい動物も動きを制御されることでパニックになり凶暴になること忘れないで欲しいと思います。

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