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猫の病気として最も多いのが腎不全やFLUTD(Feline Lower Urinary Tract Disease)
では、FLUTDとはどんな病気かご存じですか?
FLUTDとは、猫の下部尿路疾患の事です。今日は猫のFLUTDにおいて動物看護師の管理や飼い主への指導についてお話していきます。
猫の下部尿路疾患ってどんな病気?
猫の下部尿路疾患とは、膀胱炎・尿道炎・結石症など猫の尿に関わっている病気です。特に雄猫は尿道が細い為、尿道炎や結石症などで尿道が腫れ尿がうまく排泄出来なくなります。下部尿路疾患は殆どの場合が体質だと言われています。その他に下部尿路疾患は冬に多い疾患とも言われており、猫は寒くなると水を飲んだりトイレに行く回数が減り膀胱に尿を長時間ためてしまうことで膀胱内で細菌が繁殖し、結晶が出来やすい環境を作ってしまうからです。猫は綺麗好きともいわれておりトイレの後に生殖器を舐めてしまい尿道から雑菌が入る事でも膀胱炎はおこります。中には無菌性の膀胱炎もあります。無菌性の膀胱炎はストレスが関与していると言われています。
膀胱内にできた結晶が固まり大きな結晶ができてしまうと尿道が細い雄猫は尿道に流れ着いた結晶が邪魔をし尿が出なくなってしまいます。尿が排泄されなくなると体内に毒素が溜り2~3日で急性腎不全を起こし死に至ることもあるという恐ろしい病気です。
動物看護師の対応について気をつけたい点は?
動物看護師が電話等で飼い主からの問い合わせがある中で「猫が頻繁にトイレを行き来しているが尿が出ていない」「尿に血液が混じっている」などの症状や主訴を聞いた場合。猫が頻繁にトイレで排泄姿勢を取るも尿が出ていないという行動は異常です。膀胱炎や尿道炎などの初期症状なのかもしれません。他にどんな症状が現われるのでしょうか?
●頻繁にトイレに行き悲痛な声で鳴く
●尿が出ていない
●生殖器を気にして舐めている
●凶暴になった(イライラしている)
●食欲がない
●血尿(尿に血が混じる)
●嘔吐
これらの症状がある場合は直ちに専門医の診療を受けるよう指示しましょう。
下部尿路疾患の診断方法、どんな処置が必要なのか?
下部尿路疾患にもいくつかのタイプがあります。どのタイプの疾患なのか?特定することで治療方法も変わってきます。
どのタイプの疾患にもまず、尿検査やエコー検査、必要であればレントゲン検査・血液検査などが必要です。
一般的には、尿道にカテーテルを入れ貯まった尿を採取します。採取した尿を遠心分離機という機械に入れ沈殿した細胞(結晶)など調べ原因を特定します。
雄猫の採尿はとても難しく細い尿道がさらに尿道炎や尿道結石等で閉塞して傷ついている場合は尿道を触ることで猫にかなりのストレスを与えてしまう事にになります。しかし尿道閉塞で尿が全く出ていない場合は緊急に尿道を開通させなければ命に関わります。状態によっては鎮静をかけながら処置をする場合もあります。
ここで動物看護師が最も注意しなければいけないことは猫の全身状態の観察です。尿道を開通させる際や鎮静をかけて処置を為る場合に猫の容態が急変してしまう事が多々あります。猫の状態を観察しながら獣医師の指示に従い処置の補助を行うように心がけてください。
入院治療が必要な猫の下部尿路疾患に対しての管理
尿閉や尿道閉塞の場合、閉塞してすぐに処置が出来れば自宅での治療が出来ますが、長い間、閉塞していると猫の全身状態は悪く、血液検査で腎臓の数値が対場合などは入院治療が必要となります。点滴をしながら尿道閉塞でカテーテルを用いて閉塞を解除し、カテーテルを尿道に留置(残したまま)したまま尿を体の外に出し貯まった毒素を排泄させる処置が必要になります。ここでの注意点は、重篤な腎不全の場合、意識レベルの低下や痙攣など起こる場合があるので尿の出方を観察しながら猫の様子を観察してください。
猫の下部尿路疾患は生涯治療が必要!
猫の下部尿路疾患は、大きく分けて体質やストレスによる膀胱炎が多いのが特徴です。その他に食事管理が重要な鍵といえるでしょう。同じ食事をしていても結晶や尿結石にならない猫もたくさんいます。残念ながら体質は変えられません。
幸い下部尿路疾患の殆どが食事で治療が可能な場合が多く、食事を専用の療法食に変えることで予防も可能です。
まとめ
いかがでしたか?動物看護師の尿閉・尿道閉塞(FLUTD)管理について参考になったでしょうか?
猫の下部尿路疾患は非常に多い病気です。そして猫の命を脅かす病気ともいえます。獣医師の処置で急性心不全や膀胱炎が治ったとしても同じ食生活に戻れば何度でも繰り返します。
動物看護師は治療が終わった猫の飼い主に対して適切な食事管理の指導をする必要があります。猫の下部尿路疾患に対しての療法食は、色々種類や各メイカーによって味やドライフードの形は異なります。猫の嗜好や正確によって好みはバラバラです。患者である猫の嗜好や好みを飼い主とのコミュニケーションを通じて療法食の必要性についても説明出来ることが動物看護師には必要です。
各メーカーのセミナーなど積極的に参加して療法食の知識を身につけて欲しいと思います。

元動物看護師。20歳の時に、近くの動物病院へ動物看護師として就職。それから20年、動物病院でチーフ看護師をしていました。2015年3月、出産を気に、退職。現在は、子育てをしながら、新人看護師のためになる記事を執筆中。そして現在、10歳のシーズ、13歳のアメショを飼ってます。