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犬の目の病気「白内障」とは?

投稿日:2018年7月27日 更新日:

犬の白内障とは?

目の水晶体といわれるレンズが白く濁る事を白内障と言います。

犬の白内障も人と同様、先天性や後天性の二通りありますが、後天性で老齢性の白内障が多いと言われています。中には若年性の白内障も存在します。

眼球の表面が外傷で白い薄い膜で覆われる症状も似ていますがそれらは白内障からくる白濁ではありません。

白内障の原因

白内障は一般的に高齢と言われる6歳過ぎの犬が老齢性の変化によって現われると言われています。しかし犬種や遺伝、内分泌系の疾患で6歳以下の若い犬でも白内障を発症することも多々あります。

内分泌系の疾患とは?

内分泌系の疾患とは糖尿病です。その他にも外部からの刺激(ケガや中毒)が原因で起こることもあります。

白内障の症状

●目の奥が白く見える

●瞳孔が開いているように見える

●視覚障害

白内障は水晶体(水晶体は瞳孔の奥にあります)というレンズが白濁することで視力を失う病気です。症状の出方として両目に症状が現われる事もあれば、片目ずつ症状が現われる事もあります。

上記のように見た目の異変や慣れた環境でも物にぶつかったり、飼い主の居場所が分からず探したりという症状が現われます。犬は嗅覚が発達している為、白内障で視力を失ったとしても生活は変わらず視力の低下に気づかない場合もあります。

視力を失ったことで犬は不安になり見えない方から近づいたり触ろうとしたときに攻撃的になって噛みついたり遠吠えをするようになることもあります。

白内障の診断・治療法

白内障の診断方法として眼低鏡で目の奥をのぞき光がどれだけ網膜に到達しているか?光の通り具合を見ることで進行度合いがわかります。

白内障の治療法として上げられるのが

●点眼

●手術

上記の治療法がありますが、点眼は進行を遅らせることはできても白内障を完全に防ぐことはできません。完全に治療為る場合は、やはり手術で白濁したレンズを入れ替える方法しかないようです。しかし人と違い局所麻酔で施術できないデメリットや術後のケアが難しく術後の点眼や自傷行為などで入れ替えたレンズなどが破損したりというデメリットの方が多いことから今のところ一般的な治療法として行っている動物病院は少ないようです。

~予防法~

▲点眼薬(カタリンK・ライトクリーンなど)

白内障の予防として高齢になる前、5歳くらいから白内障の目薬を1日数回点眼することで進行を遅らせることはできますが、しかし進行度合いにも個人差があるのであまり効果は期待できません。

▲目にいいサプリメント

動物用で目のサプリメントとして製薬会社が発売していますが、目薬と同様に個人差やサプリメントの服用で白内障の治療として劇的な効果は期待できないでしょう。

まとめ

犬の白内障は、水晶体の白濁が少ない場合には住み慣れた環境での生活で困ることはありません。それでも白内障は加齢と共に進行していきます。そして糖尿病からくる白内障も血糖値のコントロールや食事療法などで進行を遅らせることが出来ても白内障の進行を完全に止めることは不可能です。

根治治療が困難である白内障、老化と共に白内障は必ず進行するという事を飼い主に説明しなければなりません。それでも飼い主が愛犬のために、「なにかしてあげたい」と望むのであれば、白内障の手術や点眼やサプリメントの情報をメリット・デメリットを踏まえ獣医師側から情報の提供してもいいかもしれません。老化による衰えは視力だけでは無く聴覚にも現われます。聴力の衰えに加え白内障によって視力を完全に失ってしまった犬と暮らすために自宅でのケアとして住み慣れた環境の維持や愛犬の不安や恐怖心を取り除く方法はあります。

●急に触らない。

●触るときに声かけをする

●家具の配置を変えたり愛犬の行動範囲に物を置かない

視力と同時に10歳を過ぎた頃から聴力も衰えてきます。聴力が衰え飼い主の呼びかけにも反応しない場合は、犬の優れた嗅覚を利用し犬に触る前に、飼い主であるという認識をさせるために犬の鼻の前に手を差し出し匂いを嗅がせてから触るなどの工夫などが必要になるでしょう。

犬の老化は人より早く視力・聴力を完全に失ってしまった犬の飼い主は食事や排泄が出来なくなる事もあるので飼い主のサポートが必要になります。

しかし視力を失う病気は白内障だけが原因で無いこともたくさんあります。私たち獣医師は言葉を話せない犬や飼い主からの情報を集め他の疾患が隠れていないか?1つずつ確認しながら診断をしなければいけません。診断も重要ですが、視力を失った愛犬と暮らす飼い主に対する説明や心のケアも重要だと思います。

今現在、動物病院によって各専門分野を主に診ている動物病院があります。勿論、「得意」「不得意」があったり、眼底を診れる医療器具が整っていないなどの悩みもあるでしょう。診断に迷った場合は目を専門に診ている動物病院を紹介するのも1つの解決方法だと私は思います。

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