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犬の生殖器の病気とは?雄と雌の違いについて。(雌犬編)

投稿日:2018年11月7日 更新日:

犬の生殖器とは?繁殖の為の器官で、雄と雌とでは構造も働きも大きく違います。

<雌犬の生殖器のしくみについて>

雌の生殖器は人と同様に、二つの卵巣・子宮・膣があります。子宮は二つの子宮角、子宮体、子宮頚で構成されています。

子宮角とは左右の卵巣からそれぞれ卵を受け取る部分です。二つの子宮角は中央で一つに繋がって子宮体となり、そこから一本の子宮頚が下に伸び、膣に続いています。犬の発情は、基本的に6ヶ月周期で発情します。しかし個体差によって発情の周期は異なる場合があります。

<雄犬の生殖器のしくみについて>

雄の生殖器は精巣(睾丸)とペニスです。副生殖器と言われているのが前立腺です。

精巣やペニス自体の病気は多くありませんが前立腺の病気が多いのが特徴と言えるでしょう。前立腺は卵円形で雄犬の膀胱の後ろに尿道を取り巻くようについています。前立腺は正常なら骨盤前の縁にあります。膀胱に尿がたまったり、前立腺肥大という病気などで大きくなると前方にでてきます。雄犬の前立腺の病気は人と似ている部分もあります。

~<雌犬の生殖器に関する病気について>~

雌犬の生殖器の病気は

▲子宮蓄膿症▲

子宮蓄膿症とは、子宮が感染して炎症を起こし子宮内部に膿がたまる病気です。

<症状>

子宮内部の広い範囲に渡って炎症がおこる為、雌犬は多飲・多尿の症状がでます。子宮内部に膿がたまるのでお腹が膨らむのも特徴です。子宮の頚が開いている場合は陰部から膿や血混じりの血膿が排膿されるので飼い主が発見できる事もありますが、子宮頚が閉じている場合は発見が遅れ命にかかわる病気です。

<原因>

子宮が何らかの細菌に感染して炎症を起こし、その結果生じた膿が子宮内にたまる事が原因です。雌犬の発情期には子宮の頸部が緩み細菌が侵入しやすくなります。しかし子宮は細菌を防ぐ役割も持っているため通常、感染を起こすことは稀です。出産経験のない雌犬や5歳以上の老犬は発情期後に卵巣の黄体ホルモンのバランスを崩しやすくなるため子宮内膜が増殖し細菌に感染しやすくなります。

<治療法>

子宮蓄膿症の治療は、一般的に全身麻酔を使い子宮を全部摘出する方法が用いられます。外科的手術の他に頚部からの排膿がある場合は抗生剤などを使用しての治療が可能ですが繰り返すことがあります。子供を産ませる予定がない場合はもっと高齢になって外科的手術をするよりは少しでも若い時期に摘出方法が良いでしょう。

▲乳腺炎▲

乳腺炎は人と同様、授乳期におこりやすい病気です。

<症状>

急性の乳性炎は全身が発熱し、乳腺が熱をもちシコリや黄色や血が混じった乳汁がもでることもあります。発熱で元気がなくなり食欲も低下してしまいます。

<原因>

出産後の授乳中におこりやすい病気です。仔犬が母乳をうまく飲めなかったり、死産してしまった母親犬の乳汁が過剰に分泌されていたり細菌の感染でおこります。出産していない雌犬でも乳腺炎を起こすこともあります。発情期から二ヶ月ごろに妊娠の有無に関係なく乳腺が張り乳汁が分泌されます。妊娠してい場合は時間がたてば乳汁も止まり通常の乳腺に戻ります。しかし、まれに乳汁が過剰に分泌されると乳腺炎をおこすこともあります。

<治療法>

授乳期であれば授乳をやめ冷やすといいでしょう。細菌感染の場合は、抗生剤などの服薬を使用し治療します。細菌感染がない場合は、消炎剤やホルモン剤を使用します。

▲膣炎▲

雌犬の膣は交配や出産などで細菌感染し膣に炎症をおこすことがあります。

<症状>

膣炎になると膣が炎症で赤く腫れ粘液性のおりものが見られます。症状が酷くない場合、ほとんど症状は現れません。

<原因>

膣炎の多くは交配や出産のときに細菌などが原因でおこります。また子宮の内膜が細菌に感染しておこる子宮内膜炎が膣まで広がり膣炎をおこすこともあります。

<治療法>

膣炎の治療法は主に殺菌、消毒液などで膣を洗浄します。洗浄と併用して抗生剤の投与も行います。

▲膣脱▲

膣脱とは?膣が体の外に出てしまう病気で、これを膣脱といいます。

<症状>

雌犬の外陰部から赤い粘膜の何かが出てきますが、多くの場合それは膣です。稀に膣にできた腫瘍が大きくなって外陰部から出てくることもあります。

<原因>

膣脱の原因の多くは発情期に性ホルモンのバランス(エストロゲンとプロゲステロン)が崩れると膣の一部が体の外に出てしまうことがあります。

<治療法>

膣脱は、発情期が終わると多くの場合、正常に戻りますが、膣は傷がつきやすく細菌感染しやすいので注意が必要です。稀に、膣脱を繰り返したり膣が出たままで戻らず突出した膣が腐ってしまう場合もあります。出産の予定がなければ避妊手術を行い、子宮や卵巣と共に膣を切除する方法があります。避妊手術は膣脱や膣炎を防ぐだけではなく子宮蓄膿症や卵巣がんなどを予防できる方法でもあります。子供を産ませる予定がなければ早めの避妊手術で乳腺腫瘍など防げる可能性もあります。

当記事は、動物看護師や飼い主向けに書き下ろしたものです。

投稿者プロフィール

福岡の新人獣医師
福岡の新人獣医師
某獣医系大学に6年間通い、晴れて獣医師になったとある新人獣医師です。某田舎の動物病院に勤務することになりましたが、病院内の掃除や器具の片付けなど雑用も多く、下積みが必要だということで耐えてますが、気晴らしにブログ等書いてます。看護師さんや、獣医学生の役に立てば幸いです。

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