ペットショップでは今他小売業と同じく慢性的な人手不足が続いています。そのためペットショップの店頭ではスタッフ募集の張り紙を目にすることやHPではスタッフ募集に関する記載を目にするでしょう。
でも、「憧れの職業」「ついてみたい仕事」などのアンケートでは上位にランクインすることも多いので、この人手不足という現状に驚く方も多いでしょう。
ここではペットショップの店員が抱える現状の悩みとこれからの将来性について考えてゆきましょう。
■犬猫が好きだからこそ、仕事を辛いと感じることが多いのが現状
ペットショップで仕事をする理由は犬猫が好きだから!誰もがそう答えるでしょう。でも一方で好きだからこそこの仕事を辛い、大変だと感じてしまうことも多々あります。
例えば生体販売では生後間もない子犬、子猫のお世話は想像以上に手がかかることが多くデリケートです。きめ細かにそれぞれの健康状態、食欲を把握しお世話を続けて行きます。もちろんお世話をするだけではなく、新しい家族を見つけてあげることも大切な仕事ですから、お世話が終わり店頭に立つときは笑顔で丁寧な接客が求められます。
ただ必ずしも全ての子犬、子猫に順調に飼い主さんが見つかるわけではありません。時には売れ残ってしまうこともあります。そのような時、狭いショーケースの中で過ごす姿に切ない気持ちを抱いたり、自身の販売力不足に自己嫌悪を感じることもあるでしょう。来店客の言葉にさらに追い詰められることもあります。
ペットが好きだからこそ、子犬、子猫の様子を見過ごすことが出来ず、心底辛い思いを抱えるのです。
このような経験を重ねることで次第に、好きなことを仕事にすることの大変さや後悔を感じてしまうのでしょう。
この仕事につくまでは憧れていた幸せ溢れる仕事をイメージしていたものの、いざ始めてみると短期間で退職をしてしまうのもこのような理由からでしょう。
ただこの仕事は必ずしも辛く大変なことばかりではありません。あるときは大切な家族の一員に迎えられ、飼い主と幸せ一杯に過ごす姿を目にすることもあります。元気に成長した子犬、子猫の姿や写真を目にするとまるで自分のペットの様に幸せを実感するでしょう。
仕事として取り組むうえでは辛い事も嬉しいこともありますがペットショップの人手不足にはこのような背景も関係していることも知っておきましょう。
■将来はより専門性を求められる職業に
現状では多くのペットショップで求人への募集要項に「未経験者OK」「資格不要」と書いています。つまりペットが好きであれば何ら経験も知識も必要ないとしているのです。
しかし実際に仕事を始めてみるとたとえ経験はなくても知識は必ず求められ、期待されます。お客様からは日々様々な質問が飛び、正しい回答を求められます。
特にペットフードはアレルギー発症リスクとの兼ね合いもあり、間違った答えや案内をすることは注意しなければなりません。
ペットショップはもちろん小売業の1種ですが必ずしもただレジを打つだけでは勤まりません。お客様から寄せられる様々な質問に的確にこたえるのです。
もちろん犬猫といっても種類や年齢、持病によって適切な商品が異なります。飼い主さんによっては間違った商品を選んでいることに気が付いていないかたもいます。
これからのペットショップではこれまでとは違いより専門性を高めるために有資格者、経験者が優遇されるようになるでしょう。
例えば
・ドッグフード
・お手入れ
・介護
・しつけ
これらの分野では飼い主さんは様々な悩みを抱えています。ペットショップに足を運び様々な相談を気軽にすることが出来れば、より店舗へ足を運ぶ機会が増え、売上の向上にもつながるでしょう。
地域によっては英語や他言語での接客応対が出来る店員を必要ともしています。
このような対面でのアドヴァイスはネット通販では賄えない部分で有資格者の強みでもあります。
これからペットショップへの就職を考えている場合、資格を取得し就職を希望している場合はどんな分野でも自分が熱心に探究出来る分野を見つけて、ぜひプロとしての活躍を目指しましょう。
かといって今後、人手不足を絶対的に解消する方法はなかなかありません。これはペットショップに限らず他の小売業、サービス業でも同じことでしょう。人手不足が加速すれば、各企業は店員を確保するために時給や給与の引き上げや休日の待遇を改善しようと動きます。この時、つい待遇面に目がいきがちになり転職を考えることもあるでしょうが、仕事のやりがいと給与待遇は必ずしも一致するとは限りません。
給与待遇にばかり目を取られずに、自分が熱意をもって取り組むことが出来る仕事かどうかを見極めてゆきましょう。

ペット業界キャリア25年以上。生体販売、トリミング、トレーニングと幅広い経験があり、国内最大手のペット関連企業本部企画業務を10年担当。ペット関連雑誌、サイトへの執筆実績も多数。資格は、トリマー、トレーナー、アロマセラピスト他、幅広く保有。現在は、ペット業界の求職者に向け執筆活動中。