周術期とは、どの様なことを指す言葉の意味なんでしょうか?
周術期とは、手術を受ける患者が入院から退院までの期間の事を言います。
では、周術期で動物看護師に求められる事とは?今回は動物看護師の周術期における仕事や求められる知識やスキルについてお話しします。
周術期(管理)とは?
周術期管理とは?
手術を受ける動物が安全に手術を受けれる環境を整えたり、術後の回復から退院までがスムーズに進むように手助けすることを周術期管理と言います。
手術を受ける動物のケアだけではなくその飼い主へのケアも必要です。
周術期看護とは?
周術期看護とは?
動物看護師が手術を受ける動物に対し、術前から術後、退院までをサポートする期間のことを周術期看護といい、動物の術前検査や問診、診察や各検査の補助、手術の準備や手術中の麻酔管理、術後に傷から細菌感染などの観察、疼痛管理など幅広くこなします。
しかしそれだけではありません。術後に飼い主が面会に来た際に、飼い主とのコミュニケーションや対応までも幅広く動物看護師は日々こなさなければいけません。
では、動物看護師はどのような周術期管理をしているのでしょうか?
動物看護師の術前から退院までのサポートとは?
手術を受ける患者(動物)の環境は色々あります。
①術前から入院している動物
②手術当日に来院する動物
③緊急で手術を受ける動物
上記のように手術を受けようとする動物の置かれている状況は様々です。では、どの様な違いがあるのでしょうか?
①・②のように予め手術の予定が入っている場合は、入院中もしくは手術予定の数日前に術前検査を行います。
▲血液検査
全身状態の確認。腎臓や肝臓に障害がある場合、麻酔に耐えれる状態なのかを確認します。しかし手術を施す部位によって考えは異なります。
▲心電図検査
心臓に不整脈などの疾患がないかの確認。
▲レントゲン検査
癌などを摘出する手術の場合、肺や肝臓などに転移が無いか?心臓肥大や肺に問題が無いかの確認。癌だけ止まらず必要であれば検査を行います。
▲エコー検査
エコー検査もレントゲン検査と同じようにレントゲンでは確認出来ない心臓疾患や他臓器に転移などないか?の確認。エコー検査も必要に応じて行います。
ここで動物看護師が気をつけたいことは、各検査の保定や検査の準備です。獣医師によって使う医療器具や、やり方は様々です。検査の手順や方法など覚えて獣医師の診療や処置がスムーズに行えるようサポートが必要です。
手術中は麻酔管理に気を遣いながら機械出しや動物の状態を注意深く観察しなければ麻酔での事故に繋がります。心電図モニターや酸素濃度に気をつけながら執刀する獣医師をサポートします。
術後から退院までの管理については術後、動物の麻酔が覚醒される頃、動物はパニックを起こします。暴れて入院施設などでケガをしないように入院施設にクッションやタオルなどを敷き詰め工夫したり入院中は、動物の疼痛管理も行います。「食事を取れない」「触ると痛がる」「震えている」など動物の様子を観察し些細な変化に気づけるような観察力が求められます。
動物看護師に求められる事や知識(術前~術後・退院)
周術期で動物看護師に求められる事や知識とはどんな事だと思いますか?
まず一番始めに飼い主から手術の同意書を書いてもらったり、長期にわたり入院する場合の説明など飼い主とのコミュニケーション能力が必要とされます。家族同然のペットが数日でも手元を離れ手術や入院、慣れない環境にペットを置かなくてはいけない事で飼い主は自分を責め心を傷めたりすることもあります。決して病気は飼い主の責任ではないのですが飼い主はペットの病気が自分の責任だと思い詰める人もいます。病気の中には、飼い主の不注意でおきる事故、予防接種や予防関係の知識不足で病気になり入院したり、時には命を落としたりすることもあります。
動物看護師は、獣医師よりも飼い主との関わりが多い為、入院や手術を受けさせる動物の飼い主への心のケアは重要といえるでしょう。
その他に大事な事と言えば、手術部位の剃毛処置です。
動物は手術を受ける際に、全身に覆われている毛を雑菌が入らないように綺麗に刈らなければなりません。手術部位が決まっている場合や、腹部全体と手術内容によって異なります。剃毛のコツは、手術部位よりも広く刈る事です。剃毛も、始めから綺麗に出来る動物看護師はいません。実際に剃毛していく中でこなした回数で「どこをどれだけの範囲、刈ればいいのか?」分かるようになります。率先して回数をこなして欲しいと思います。
まとめ
いかがでしたか?動物看護師の周術期管理・看護について参考になったでしょうか?
周術期は、手術を受ける動物もその飼い主もとても不安になります。不安で怯える動物を宥め安心させることは勿論、飼い主の不安な気持ちに寄り添い話を聞き不安を取り除いてあげるのも動物看護師の大切な役目だと思います。飼い主は不安な気持ちを聞いてもらうだけで半分は落ち着きます。残りの半分は、動物が無事に手術を乗り越えてくれるよう生命力を信じるしかありません。
また執刀する獣医師も手術前は神経を使いピリピリしています。術前~術後、退院まで獣医師のサポートも欠かせません。

元動物看護師。20歳の時に、近くの動物病院へ動物看護師として就職。それから20年、動物病院でチーフ看護師をしていました。2015年3月、出産を気に、退職。現在は、子育てをしながら、新人看護師のためになる記事を執筆中。そして現在、10歳のシーズ、13歳のアメショを飼ってます。