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犬の耳の病気「外耳炎」とは?

投稿日:2018年8月31日 更新日:

犬の「外耳炎」とは?

耳の穴や外耳道に慢性的な炎症が起こることを外耳炎といいます。外耳道は、耳介(耳のひらひらしている部分)から垂直に伸びている場所「垂直耳道」があり垂直耳道の突き当たる場所から水平に伸びている場所「水平耳道」があります。その奥に鼓膜や鼓室、耳管などの器官があります。垂直もしくは水平のどちらの耳道で炎症が起こった疾患を外耳炎と呼びます。または外耳道炎とも言います。

外耳炎を治療せず放置しておくと鼓膜や内耳にまで炎症が広がってしまいます。

犬の外耳炎の原因

犬の外耳炎の主な原因として多いのが、犬のアトピー性皮膚炎や食物アレルギーと言われています。

他にも原因はあります。例えば

●アトピー体質や食物アレルギー

●腫瘍などの異物

●細菌感染

●真菌感染(マラセチア)

●耳の掃除不足

●ミミヒゼンダニなどの寄生虫

●外耳炎を起こしやすい犬種

●耳の中の毛が多い犬種

外耳炎にかかりやすい犬種は

■ゴールデン・レトリバー

■シー・ズー

■ビーグル

■バセット・ハウンド

■キャバリア

■ミニチュア・ダックス

上記のように耳が大きく垂れている犬種は耳の中の通気性が悪く常にジメジメしている為、蒸れやすく菌が増殖しやすい環境なのです。

犬の外耳炎の症状

犬の外耳炎の症状は

▲後ろ足で首周りや耳を掻く

▲痛み

▲痒み

▲頭を振る

▲湿った茶色い耳垢が出る

▲耳垢が常にたまりやすい

▲耳から悪臭がする

▲外耳道の皮膚が肥厚する

▲炎症で外耳道が狭くなる

▲出血する

外耳炎を放置してしまうと炎症が鼓膜付近まで広がり中耳炎や内耳炎を併発し頭を傾けて旋回したり真っ直ぐ歩けなくなったり耳が聞こえなくなったり、嘔吐という症状が出ます。それは内耳にある平衡感覚や聴覚を司る神経にまで影響してしまうからです。その他にも外耳道と併発する病気として上げられるのが耳を振ることで耳介の細かな血管が切れ出血(漿液)がたまり耳血腫という病気まで併発してしまうのです。

犬の外耳炎の治療法

犬の外耳炎の治療法は、原因によって違いがあります。細菌感染や真菌感染であれば抗菌薬や抗真菌薬が入った内服か点耳薬を用いて治療をします。内服薬は耳に薬が行き届きにくく点耳薬が一番効果的でしょう。耳垢を洗浄した後に点耳薬を点耳し点耳薬が行き届きやすいように耳の根元を揉みます。

外耳炎の治療中は点耳薬を入れる事で違和感と痛みや痒みが伴い犬は後ろ足の爪で耳を掻いたり、床に擦りつけたりします。耳を爪で掻く事で耳に傷ができたり床に擦りつけることで眼球に傷(角膜炎)がついたりと二次的に病気を増やしてしまうのでエリザベスカラーなど用いて治療を継続することをお勧めします。

その他の原因でもあるミミヒゼンダニによる外耳炎はミミヒゼンダニを駆除する点耳を用いて治療をします。耳の洗浄で耳垢を取り除いた後にダニ駆除配合の点耳薬を使います。ミミヒゼンダニからくる外耳炎でも菌が増えることもあるので抗菌薬の点耳薬を同時に使用することもあります。

アトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎からくる外耳炎は、外耳炎の治療と平行しながらアレルギー物質の除去や皮膚炎の治療も行います。

犬の外耳炎の予防法

外耳炎の予防として、外耳炎になりやすい環境を取り除く方法です。一番効果的なのは日頃から飼い主が耳のケアとして耳の中の毛を抜いたり耳専用の洗浄液を使い洗浄することが一番です。

自宅でシャンプーする際には水が入らないように工夫したりシャンプーの後は念入りに耳掃除をし乾燥させる方法が効果的です。

外耳炎は繰り返し発症することが多い病気の1つです。外耳炎を繰り返さないように定期的な耳のチェックや耳掃除のケアが重要です。

適切な耳掃除の日数や、やり方

犬の耳掃除の間隔として適切な回数は、生活環境や犬種によって様々ですが皮膚が弱い犬や外耳炎になりやすい犬種であれば1~2週間に一度と毎日する必要はありません。洗浄や綿棒などが逆に刺激となり外耳炎を引き起こす可能性もあります。外耳炎になりにくい体質や犬種の場合は、月1度くらいの回数が理想でしょう。

定期的にトリミングをしている犬種は必要以上に自宅で耳掃除を為る必要はないかもしれません。

まとめ

犬の外耳炎は、耳のに悪臭や痒みや耳垢が増えたりと日頃から手入れをしている飼い主なら気づきやすい病気の1つだと思います。犬の耳は人と異なり外耳道が「垂直耳道」と「水平耳道」の外耳道がL字になっているため綿棒などで完全に耳垢を除去することが難しいのです。

外耳炎は放置してしまうと自然に治ることもありますが、放置したことで二次的に内耳炎や中耳炎を起こし前庭疾患や難聴、耳血腫といった病気を併発することも多々あります。

外耳炎から内耳炎や中耳炎、耳血腫などを併発しないようにしっかりと治療や、完治した後も飼い主が自宅でのケアが出来るように私たち獣医師や動物看護師は、飼い主に指導していくことも「外耳道を繰り返さない」という治療の1つだと私は思います。

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