クッシング症候群とは?
クッシング症候群とは、副腎皮質亢進症という病気で副腎皮質ホルモンが過剰に体内に分泌されることで引き起こる病気です。
アジソン病とは?
クッシング症候群の反対で副腎皮質機能低下症という病気で副腎皮質ホルモンが不足・低下することで引き起こる病気です。
Contents
クッシング症候群の原因
クッシング症候群になる原因として5つあります。
★脳下垂体に腫瘍ができる
★副腎皮質にできる腫瘍
★薬物の過剰摂取(皮膚の治療で長期にわたりステロイド剤を飲み続けた場合)
★肥満
★遺伝的要素
8歳~12歳の老犬によく発症するといわれていますが、クッシング症候群の好発犬種としてあげられるのが
▲トイ・プードル
▲ミニチュア・ダックスフント
▲ミニチュア・シュナウザー
▲ポメラニアン
▲テリア種
▲ボクサー
上記の犬種がよく発症するといわれていますが、5歳以上の犬種でオスよりメスに多くどの犬種も発症する可能性はあります。
クッシング症候群はコルチゾールというホルモンの分泌異常で主な原因は「下垂体」と「副腎」のどちらかが原因でコルチゾールが過剰に分泌されることで犬の全身に様々な影響を及ぼします。
クッシング症候群は、コルチゾールというホルモンは脳内の下垂体からの命令で分泌される量が調節されているため、下垂体自体に腫瘍ができたり何らかの異常があると調節する機能に支障がでてくる為、過剰に分泌されることでクッシング症候群を発症します。クッシング症候群の90%が下垂体腫瘍といわれています。残り1%の確率で副腎自体に腫瘍ができ副腎が大きくなることでもコルチゾールが過剰に分泌されます。その他に考えられる原因はステロイド薬を長期にわたり服用していることでコルチゾールが増えクッシング症候群を引き起こす原因となります。
クッシング症候群の症状
代表的な症状は
●たくさん水を飲む
●食欲が増す
●おしっこの量が増える
●体の毛が左右対称に抜ける
●お腹が膨らむ
●筋肉が衰えるもしくは萎縮してしまう
よく食べるにも関わらず痩せてお腹だけが膨らんで背中が平らになってくるのもこの病気の特徴です。食事をよく食べて、しっかり水分をとるので飼い主は病気だと気づかないことがあります。病気が進行すると徐々に元気がなくなり免疫力の低下によって様々な感染症(皮膚炎・膀胱炎)にかかりやすくなり、後ろ足の靱帯や膝の靱帯まで切れやすくなってしまいます。クッシング症候群を発症した犬の半数以上が甲状腺機能の働きも低下します。また、クッシング症候群を発症した犬の約1割が糖尿病を併発するといわれています。糖尿病はクッシング症候群の症状と似ている為、見分けがつかないのが厄介な病気です。
クッシング症候群の診断・治療法
クッシング症候群の診断方法は、血液中の副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の値を調べることで判断できます。主に使われる診断方法は、副腎皮質ホルモン刺激検査(ACTH試験)をします。
クッシング症候群の治療法は、脳下垂体が原因の場合、外科的に腫瘍を摘出する方法がありますが、下垂体の腫瘍を手術で切除することは非常に困難です。副腎に腫瘍ができている場合は、外科的に手術で副腎を摘出する方法を一番に検討します。しかし副腎腫瘍の場合も手術が困難な場合は、ホルモンを抑える飲み薬(OP-DDD)で症状を緩和したり犬の生活の質(QOL)を上げることができます。
クッシング症候群の予防法
クッシング症候群を未然に防ぐ方法はありません。しかし定期的に健康診断を行うことで早期に発見できる病気でもあります。自宅で飼い主が愛犬の異変に気ずくのが飲水量です。体重1kgあたり100cc以上水を飲んでいるようならクッシング症候群や糖尿病が疑われます。
アジソン病の原因
アジソン病の原因は、クッシング症候群の治療で用いられる飲み薬(OP-DDD)を過剰に摂取したときや、他の病気で使用していたステロイド薬を中止したときにおこります。アジソン病は突然発症するのが特徴といえます。発症しやすい年齢は弱年齢から中年であるといわれています。その内、7割から8割がメス犬に多く見られます。
アジソン病の症状
アジソン病の症状は
▲元気がなくなる
▲無関心
▲意味もなく震えている
▲体重の減少
▲下痢や嘔吐
▲多飲・多尿
アジソン病は急性であることが多く、症状によっては死んでしまうこともあります。
アジソン病の診断・治療法
アジソン病の診断方法は、臨床症状とクッシング症候群の診断と同様に副腎皮質ホルモン刺激検査(ACTH試験)を行います。またアジソン病の特徴として心臓が小さくなるのでレントゲン検査も行うといいでしょう。血液中の電解質のバランスも崩れる特徴もあるので、全身状態も把握できる為、同時に血液検査もお勧めします。
アジソン病の治療は、副腎皮質ホルモンである鉱質コルチコイド薬の投与や緊急の場合は、静脈から生食を投与します。
まとめ
クッシング症候群は生涯投薬の可能性が大きい病気です。外科的に下垂体の腫瘍を摘出できれば完治が望めるでしょう。今の獣医医療では難しいと思います。アジソン病は、ストレスが加わったときに多発するといわれています。ストレスフリーな環境作りが重要です。

某獣医系大学に6年間通い、晴れて獣医師になったとある新人獣医師です。某田舎の動物病院に勤務することになりましたが、病院内の掃除や器具の片付けなど雑用も多く、下積みが必要だということで耐えてますが、気晴らしにブログ等書いてます。看護師さんや、獣医学生の役に立てば幸いです。