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犬の目の病気「結膜炎」とは?

投稿日:2018年8月1日 更新日:

結膜炎とは?

結膜には内側の瞼と言われる「眼瞼結膜」・眼球の前方を覆っている「眼球結膜」というものがあります。そのどちらか一方でも発症する病気です。

犬に一番多い目の疾患が結膜炎です。結膜炎は人も同様細菌やウイルス感染や刺激物などが目に入り結膜(目を大きく開いた時に見えるピンクの膜)に炎症が起きる病気です。
生まれつき瞼の形やまつげの生え方などの異常な犬は結膜炎を繰り返し発症します。

犬が目をショボショボさせ涙や目脂がでます。結膜炎は抗生剤や炎症をとる目薬で比較的早く完治しますが、繰り返したりなかなか治らない時は他の病気が隠れている場合があります。

結膜炎の原因

結膜炎の原因として多いのが外的要因です。細菌感染やウイルス感染、散歩中に砂やゴミが入る事による外部からの物理的な刺激、トリミングや自宅でのシャンプー時に洗剤が目に入りることによる科学的な刺激の場合。その他にはアレルギー体質で食べ物やハウスダスト等のアレルギー物質を摂取したことによるアレルギー反応でも結膜炎を起こす要因でもあります。

▲睫毛の異常
睫毛が二重に生えていたり逆まつげなどの生え方によって眼球の刺激となり結膜炎を繰り返す犬種もいます。

▲瞼の異常

瞼の一部が内側に入り込む眼瞼内反症が原因で瞼や眼球に刺激を与えてしまうことで結膜炎を起こすこともあります。

結膜炎が片目なのか?もしくは両目なのか?で原因は大きく異なる場合もあります。

両目で結膜炎を発症している場合、外部からの刺激やウイルス感染、細菌感染などの要因以外にアトピー性皮膚炎・ドライアイ・流涙症などの疾患で結膜炎を引き起こす事もあるので注意が必要です。犬は自分で目を洗浄することが出来ないので些細なことで結膜炎になりやすい動物なのです。

結膜炎の症状

結膜炎の症状

●片目もしくは両目が赤い

●目の痒み

●目を前脚で掻く・床に顔を擦りつける

●瞼の充血

●涙が増える

●目を細める

●目脂(目ヤニ)が増える

●目が開かない

飼い主が愛犬の目の異常に気がつくのはだいたい目やにが出ているという症状で気づく事が多いでしょう。目やにと言っても目ヤニにも正常範囲である場合もたくさんあります。

目やにの色が白や黒、茶色など少量の目やにであれば異常ではありません。正常な新陳代謝によるもので日常生活において犬は、日中、自分で瞬きをすることによりゴミやホコリを涙と一緒に洗い流そうとします。しかし就寝中は瞬きをしないので起床時に目やにが目の周りに固まっていることはよくあります。

では異常な目やにとは?どんな物でしょうか?

●黄色や緑色の目やに

●粘度がある目やに

●角膜を覆う量の目やに

上記のような目やにの変化や色も大事な診断基準と言えるでしょう。

結膜炎になりやすい犬種

目の病気になりやすい犬種として目が大きい犬や長毛種など毛が長い犬種が多いと言われています。

▲パグ

▲マルチーズ

▲シー・ズー

▲フレブル

▲ブルドック

▲キャバリア

▲ヨークシャー・テリア

▲ホワイト・テリア

▲ミニチュアシュナウザー

▲トイ・プードル

特に短頭種であるパグ・フレブル・シー・ズー・チワワ・キャバリアなど鼻が短い分目が前に出ている為、散歩中に草や砂ホコリなどの外部かの刺激を受けやすい犬種が目のトラブルが多い犬種です。

▲睫毛の異常

睫毛が二重に生えていたり逆まつげなどといった睫毛の生え方によって眼球の刺激となり結膜炎を繰り返す犬種もいます。

結膜炎の治療法

結膜炎の主な治療法として原因により抗炎症剤の点眼や抗生剤の点眼を1日2回~3回行うのが一般的です。その他にも目やにや汚れなどをホウ酸水や精製水などで洗眼療法と併用しながら眼球を清潔に保ち点眼をする事が一番です。

犬は目に違和感や痒みがある場合、前脚で掻いたり床に擦りつけて痒みを取ろうとします。その行為は結膜炎だけじゃなく角膜に傷を付けてしまうこともあるので治療中はエリザベスカラーなどを用いて治療をします。

まとめ

結膜炎は点眼治療によって改善が早い病気の1つです。しかし結膜炎以外にアレルギーなど他の疾患が隠れている場合や角膜炎などを併発した場合は時間がかかることも多々あります。原因や症状によって点眼の種類や点眼回数が変わったり、長期のわたり継続して点眼治療が必要です。結膜炎症状で適切な治療が行われず放置した場合、症状が進行してしまい角膜にまで炎症が広がってしまいます。

家庭で日頃のお手入れを行う事で結膜炎を防ぐこともできます。長毛種であれば目の周りの毛を短く切る、散歩後に精製水などで目を洗うなどのお手入れの週間があれば早い段階で目の異常にも気ずく事ができ早期に治療も行えます。

犬は基本的に目の周りや口の周りを触られることを嫌がる犬もたくさんいます。普段から目の周りを触る事に慣れさせるのも私たち獣医師の診療や治療を受け入れられる練習にもなるので飼い主へのお手入れ方法も指導していくと良いでしょう。

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