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犬と人のズーノーシス(人畜共通感染症)とは?

投稿日:2018年10月19日 更新日:

ズーノーシス(人畜共通感染症)とは?

動物と人との間で感染する病気を人畜共通感染症(ズーノーシス)といいます。

●狂犬病

●クリプトコッカス症

●パスツレラ感染症

●パルトネラ症(猫ひっかき病)

●レプトスピラ症

●ブルセラ症

●オウム病

●ジアルジア症

●回虫症

●エキノコッカス症

●疥癬症

上記の感染症は代表的な病気の一部です。今回は、「狂犬病」と「クリプトコッカス症」について原因や症状、治療法についてお話ししたいと思います。

クリプトコッカス症の原因

★クリプトコッカス症とは、カビの一種で真菌が引き起こす人畜共通の感染症です。犬よりも猫に多い病気と言われていますが人畜共通の病気です。健康で抵抗力を持った大人が発症することはほとんどないといわれています。幼い子供や免疫の疾患、高齢者など免疫力の弱い人に発症する可能性が大きい病気です。原因として自然界に多く存在し、特に野鳥や鳩の糞に多く含まれていることが知られており様々な場所に運ばれ環境中に広がってしまいます。感染経路は主に鼻から吸い込むことによって感染します。主に感染する部位は「気道」「肺」「皮膚」「目」「神経」など全身に広く及んでしまいます。

クリプトコッカス症の症状

症状として鼻炎の症状が多く、くしゃみ、ドロドロした鼻水を排泄します。そして鼻腔内に肉芽腫という腫瘍ができて腫れ上がり鼻の穴をふさいでしまい息苦しくなってしまいます。病状が進行すると、目の周りにも肉芽腫ができ、そのまま放置すると網膜に炎症がおきて失明してしまいます。さらに気管などに感染が進むと重篤な肺炎をも引き起こす怖い病気です。

★治療法・対処療法

クリプトコッカス症の治療には抗真菌薬を使います。犬が完治するまでに数ヶ月から数年かかります。病状が進行した場合には数年から障害の投薬療法が必要です。予防や対処療法としては、鳩が多く存在する場所、公園や神社などに行かないようにしたり、ベランダなどに鳩の糞を放置しないことです。少しでも愛犬の様子がおかいいなと思った時は動物病院で診察を受けてください。

犬の狂犬病の原因

★狂犬病とは致死率100%というとても恐ろしい人と動物に共通するウイルス感染です。

人を含む全ての哺乳類に感染します。全ての感染動物から感染の可能性はあります。海外へ渡航した際には現地の動物をむやみに触らないことです。

▲狂犬病の感染経路について

狂犬病ウイルスは発症している動物の唾液中に含まれており、その唾液が犬同士のケンカで噛み傷を通して感染していない犬の体内に侵入して感染します。

犬の狂犬病の症状

狂犬病を発症している犬または動物に噛まれてから通常2週間~6週間の潜伏期間をへて発症します。噛まれた部位や唾液中に含まれたウイルスの量によって潜伏期間は異なります。

動物が狂犬病ウイルスに感染した場合、初期の症状として暗闇に隠れたり食欲の低下や挙動不審な行動が現れます。その後、二通りの症状、狂躁型と沈鬱(麻痺)型の二つに分かれます。

狂躁型とは?

動きのある物には何でも噛みつこうとします。この症状は典型であり狂犬病80%がこの型です。発症後、数日間は不安や挙動の異常、食欲の低下などがみられます。その後、狂犬病ウイルスに感染した犬は狂乱状態になり吠えたり徘徊したり狂暴になり人や物に見境なく噛みついたり攻撃をしてきます。その症状が3日~4日ほど続き麻痺期に入ると大量の涎を出し全身が麻痺状態になり7日ほどで死亡します。

沈鬱型(麻痺)とは?

沈鬱型は非常に稀で痙攣症状がすぐに現れ早い場合は1日で死亡することもあります。

狂犬病に感染した人の症状

狂犬病に感染した人の症状は、

●不安

●恐水症(水を恐れる)

●高熱

●痙攣

●呼吸障害

犬の場合と同様、一旦発症すると、ほぼ100%死亡します。人が狂犬病疑いのある犬に噛まれた場合、発症する前に狂犬病のワクチンを接種することで発症を防ぐことができる場合もあります。

犬の狂犬病の診断方法

一般的に狂犬病の犬は凶暴で人が噛まれる危険性が高いため、犬が生きているうちに確定診断することは困難です。

狂犬病の犬を隔離して約三週間、興奮状態と麻痺について観察します。症状が進行しなければ狂犬病は否定されます。確定診断をするには、病状が進行し全身に麻痺が現れた犬を安楽死させ病理解剖を行う方法で診断ができます。

犬の狂犬病の治療・予防法

犬が狂犬病ウイルスに感染した場合、残念ながら治療法はありません。治療を施しても治らない病気なのです。狂犬病だと診断された場合は、「安楽死」をすることもあります。

狂犬病を予防するには?

日本では「狂犬病予防法」により生後3ヶ月を過ぎた犬には必ず狂犬病の予防接種を毎年1回受けさせることが義務付けられています。予防接種と同時に行政機関(保健所)に登録します。日本国内では1957年を最後に発生はありません。しかし今現在でも海外では殆どの地域で発症しており死亡者もでています。

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