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犬の生殖器の病気とは?雌と雄の違いについて。(雄犬編)

投稿日:2018年11月9日 更新日:

生殖器は繁殖のための臓器で雄と雌とでは生殖器の構造も働きも異なります。雄犬の生殖器のしくみについては、前回雌犬編でお話しているので雄犬の生殖器に関する病気についてお話します。

~<雄犬の生殖器に関する病気>~

▲精巣腫瘍▲

精巣の腫瘍は人間よりも犬の方が発生率が高く、未去勢犬の高齢になればなるほど多くみられる病気です。腫瘍細胞の増殖によって精巣が膨れあがるのが特徴です。ほとんどの腫瘍が良性ですが稀に他の臓器へ転移することがあります。

<症状>

犬の症状には、精上皮腫・セルトリ細胞腫・間質細胞腫があります。

精上皮腫は左右の精巣の両方にできる場合もあります。セルトリ細胞腫は精巣全体に腫瘍細胞が広がり精巣が膨れあがります。このセルトリ細胞腫になると腫瘍細胞は女性ホルモンを分泌するので雌犬のように乳腺が大きくなったりお腹の部分の脱毛が現れます。次に老犬に最も多い腫瘍が間質細胞腫です。セルトリ細胞腫と同様、女性ホルモンが分泌されるので乳腺が張ったり大きくなることがあります。

<原因>

精巣の腫瘍は、はっきりとした原因は分かっていません。雄犬の精巣腫瘍の多くは精巣(睾丸)が正常な位置にない睾丸停滞という病気が多いためだと言われています。精巣は胎児のときに腎臓の真後ろにできますが、産まれるまでに体の後部に移動し産まれて一ヶ月には肛門に近い陰嚢に降りてくるのが正常です。その過程の途中で精巣が止まる事があります。これを睾丸停滞といいます。

<治療法>

精巣腫瘍の治療法は、外科的に腫瘍を切除する方法が一番の治療法です。

▲包皮炎▲

包皮炎はペニスを包む包皮が病原性の細菌に侵され炎症をおこして包皮の先から膿がでます。雄犬の包皮が細菌感染を起こす病気はとても多く、常に黄色の分泌物出ています。細菌感染によるもので痛みはありません。しかし病原性の細菌に感染した場合は、包皮が炎症を起こすと痛みが生じることで違和感を感じ雄犬が舐めるようになり分泌物の量が増えます。

<治療法>

包皮炎の治療は、包皮の洗浄と抗生剤の投与が必要です。一般的な抗生剤が効かない場合は分泌物を採取し菌の特定をします。

▲前立腺炎▲

前立腺が細菌に感染して炎症を起こす病気で、高齢の雄犬に多く見られます。前立腺炎のほとんどが、前立腺の肥大を伴います。

<症状>

前立腺炎には、急性と慢性の二つあります。急性では、発熱と嘔吐が見られ、食欲の低下や排尿障害がおこります。前立腺の痛みが激しい場合は、背中を丸めうずくまり触られることを嫌がります。前立腺炎の初期では尿の濁りは認められないものの、症状が進行すると濁った尿や血混じりの尿が出ます。

慢性は、ほとんどの場合、症状が現れないことが多く前立腺の肥大もなくむしろ硬くなり萎縮することがあります。しかし細菌感染の状態が続くので膀胱炎の症状が見られます。

<原因>

尿道から侵入した細菌が前立腺に感染して炎症が起きます。

<治療法>

細菌感染が原因の一つなので抗生剤の投与が必要です。慢性の場合で、症状が見られなくてもしばらくば抗生剤の投与が必須になります。

▲前立腺肥大▲

これ胃の雄犬に多い病気です。前立腺が肥大すると他の臓器を圧迫して様々な病気を引き起こします。

<症状>

前立腺の肥大は、徐々にゆっくりと進行し、前立腺が肥大することによる症状はありません。しかし肥大することによって前立腺付近の腸、膀胱や尿道を圧迫し二次的な病気を引き起こします。腸が圧迫されると排便が困難になり便秘をおこします。

<原因>

高齢に伴い精巣の働きが衰え精巣ホルモンが分泌されなくなることが原因の一つと言われています。

<治療法>

前立腺肥大の治療法は、軽度の肥大もしくは軽い便秘であれば対症療法として食事療法を行います。重度の前立腺肥大がある場合は外科的に前立腺を摘出する処置が行われます。

▲前立腺膿瘍▲

前立腺が何らかの細菌感染によって化膿し膿が尿道から排泄されず前立腺にたまる病気です。

<症状>

症状は膿瘍(化膿した部分)の大きさによって異なります。膿瘍が大きくなると尿道を圧迫してしまい頻尿や排尿障害がおこります。その他にも発熱や腹部に激痛が伴い食欲の低下や元気がなくなり痛みから攻撃的になることもあります。

<原因>

急性の前立腺炎から前立腺が化膿することによっておこります。

<治療法>

治療は主に細菌に対する抗生剤の投与が中心で合わせて去勢手術や膿瘍を取り除くため前立腺の摘出する外科的療法がおこなわれます。

<まとめ>

犬の生殖器に関する病気は避妊手術や去勢手術によって防げる病気もあります。

雌犬は、避妊手術を行うとことで乳腺腫瘍や子宮蓄膿症、卵巣腫瘍などを防ぐことができます。乳腺腫瘍や子宮蓄膿症は、女性ホルモンが大きく関係しています。避妊手術で卵巣・子宮を摘出することで女性ホルモンが分泌されなくなることで予防できると言われています。

雄犬の場合も、去勢手術をすることで男性ホルモンが分泌されなくなることで精巣腫瘍や前立腺肥大など高齢になって発症する病気を防ぐことができます。

当記事は、動物看護師・飼い主向けに書き下ろしたものです。

投稿者プロフィール

福岡の新人獣医師
福岡の新人獣医師
某獣医系大学に6年間通い、晴れて獣医師になったとある新人獣医師です。某田舎の動物病院に勤務することになりましたが、病院内の掃除や器具の片付けなど雑用も多く、下積みが必要だということで耐えてますが、気晴らしにブログ等書いてます。看護師さんや、獣医学生の役に立てば幸いです。

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