ペットシッターの仕事は基本的には個人で行動し、仕事を終えという流れです。中には留守宅への訪問や個人での業務に不安を感じるという方もいるでしょう。
では実際に仕事をする中でどのような点を魅力ややりがいだと感じるのか具体的なケースをご紹介させていただきます。
■家庭の事情でペットを手放さずに済んだという声
今だけ、この数か月だけ・・・たとえ短い期間であっても事情を抱えている方にとっては深刻な問題でしょう。
とある家族からのご依頼は奥様が里帰り出産をされる間の数か月、愛犬と愛猫の世話を引き受けて欲しいという内容でした。
実は犬は2匹、猫も2匹と大所帯でペットホテルに見積もりを依頼したところ、数十万円もの見積もりが出て、予算的に厳しい事から、ペット達を里親に出すことさえ考えたそうです。
このようなご依頼に対して、ペットシッターである私の見積もりは想像以上の低価格だったそうです。
私にとって全てのペット達が同じ訪問先にいる上に、猫は散歩不要で食事の用意とトイレの世話だけで完了するのですから、仕事量が決して多いものではありません。
犬2匹も小型犬な上に、トリミングが必要な犬種でもなく、まだ若く健康ですから不安も手間もありません。
今回は対応期間が数か月と長い上に、奥様もさみしい思いをされていたので、訪問の都度動画を送信したり、こまめにメッセージのやり取りをすることを心掛けました。
その後、奥様が自宅に戻られてからも、忙しい育児が続くので、ペットのお世話を代行したり、旅行の際は留守宅訪問を引き受けたりと継続してご依頼をいただいています。
もしあの時、お互いの予算が一致していなかったら、信頼出来る方が見つからなかったらペット達を手放していたと思うという言葉と共に感謝の言葉をいただくことで私はこの仕事のやりがい、意義を実感しています。
■ストレスが軽減され、老犬に優しく接することが出来るようになったという声
ペットとの生活ではどの家庭にも必ずシニア期が訪れます。若く元気いっぱいだったころと違い、加齢とともに体力も低下し自力で食事をすることもトイレを済ませることも出来ない姿になります。
でもどんなにペットに愛情をもっていても仕事を辞め、家事を放棄し、終日ペットのそばで過ごすことは不可能でしょう。
あるご家庭では、高齢になった飼い主さんが大型犬と暮らしていました。
定年退職の記念にと迎えたレトリバーはとても穏やかで、しつけの覚えもよく、本当に素晴らしいパートナーであり、大切な家族の一員でした。
しかし家族の迎えてから15年がたち、飼い主さんはもちろん愛犬も高齢になり、足腰は弱り、寝たきり生活を余儀なくされるようになりました。
体力の低下とともに体重も減少したものの、大型犬ですから痩せてはいても体重は軽く20㎏を越えていました。
ご家族だけでは寝たきりの愛犬のお世話が出来ず、しまいには腰を痛めてしまい、愛犬をみとることなく手放すことさえ真剣に考えざるを得ない状況にまで困り果てた状況でご相談に見えました。
これまでにペットシッターというサービスをまるで知らなったご夫婦に動物病院から紹介があり、改めて面談をさせていただくと、できれば最後の時まで自宅においてあげたい、家族でみとってあげたいというお気持ちがとても強いことがわかりました。
そこでペットシッターである私は
・一日3回訪問をすること
・愛犬にはオムツを使ってもらうこと
・介護に必要な用品は別途購入してもらう事
を条件として仕事を引きうけさせていただくことになりました。最初は慣れない相手の訪問にお気遣いも目立っていたものの、徐々に打ち解けることも出来、愛犬の介護という負担が軽減されたことで、ご家族からも楽しかった思い出話がたくさん上がるようになりました。時には私に留守を預け、お二人で買い物に出かけられることもあります。
私は食事や排せつ、寝返りという作業の合間にブラッシングをしたり、汚れてしまった部分を洗ったり、寝床に使っているタオルの交換や買い出し、動物病院までの送迎なども引き受けるようにもなりました。
この仕事は、回を重ねるたびにお互いの距離が縮まり、相手の要望が見えてくるようになります。時にはこちらからの提案が必要なこともありとてもやりがいのある仕事だと感じています。
■自分らしいセールスポイントを見つけることが大事
ペットシッターの仕事は店舗でのサービス提供と異なり、依頼者のニーズやペットの状況に合わせてより細かいサービスを提供することが出来ます。
この仕事は自宅訪問が常となるので、時にはペット以外の様々な話題が上がることもあります。杓子定規にペット専門と割り切るのではなく、人生経験を積むことの出来るチャンスだと前向きにとらえると、新たな人間関係がひろがります。
不安や疑問を解消するためには自分なりのセールスポイントを見つけ、様々な提案や対応が出来るように心がけておきましょう。

ペット業界キャリア25年以上。生体販売、トリミング、トレーニングと幅広い経験があり、国内最大手のペット関連企業本部企画業務を10年担当。ペット関連雑誌、サイトへの執筆実績も多数。資格は、トリマー、トレーナー、アロマセラピスト他、幅広く保有。現在は、ペット業界の求職者に向け執筆活動中。