ペットシッターの仕事は資格取得や実務経験を積む、自身で独立開業を目指すという方が多い職業です。
中にはトリマーや動物看護士、トレーナーの経験を生かし、新たな仕事として取り組む方もいます。
独立開業を目指すには自身が経営者となる方法とフランチャイズチェーンへ加盟する方法とがあります。それぞれの方法のメリットとデメリットを知り、自分にあった方法で独立開業を目指しましょう。
■開業時の初期費用が少ない事が魅力
ペットシッターとして独立開業をされている方の多くは自宅を事務所として活用し、自家用車を活用し仕事をされています。
トリミングショップやしつけ教室の開業と違い、開業にあたって店舗の準備や設備投資が必要ない事が何よりのメリットです。
開業にあたって必要な費用は
〇動物取扱業の許認可申請 25000~30000円前後
〇HPの作成
〇広告やチラシ、名刺などの印刷物の作成
〇広告掲載費用
〇看板設置費用
〇ペット関連備品購入(リードやハーネスなどお世話に必要な用品)
まずは小規模から、自宅近隣にエリアを限定した活動を目指すという場合であれば、開業にかかる費用は数万円程度で済むでしょう。
近隣の動物病院やトリミングショップに依頼し、チラシなどを設置させてもらうことが出来れば、広告にかかる費用も大幅に削減することが出来ます。
HPの作成やその後の維持には10~30万円ほどが必要になりますが、個人で活動をするのであればSNSを活用することで無料もしくは安価に作成、維持管理が可能です。
ペットシッターの仕事は開業後、知名度が上がり、安定した件数の予約獲得に至るまで時間がかかるものです。開業直後はできる限り投資を控え、地道な告知活動に集中しましょう。
■自身が経営者となる場合のメリットとデメリット
自身が経営者となり独立開業する場合のメリットは
・利益が大きい
・自分のスケジュールに合わせ仕事を調整出来る
・こだわりのサービス提供が可能
という点があります。留守宅への訪問はもちろんですがしつけ代行やトリミング、物販など様々なサービスを考え、自身のこだわりの元実現することが出来るでしょう。
時間的な融通が利くことから、家事や育児、本業との両立もスムーズです。
一方でデメリットは
・知名度が上がりにくい
・予約獲得にいたるまでが難しい
・トラブルへの責任をとる必要がある
・経営、決算等不慣れな事務作業が生じる
などがあります。ペットシッターの仕事は留守宅へ訪問しペットの世話をするので、時には思いもよらぬトラブルに直面することもあります。慣れない他人宅での作業は緊張もつきものです。
個人で独立開業をするという事は、全責任が自身にあるということをしっかりと理解しておきましょう。事業拡大や繁忙期にアルバイトや派遣を活用する場合も同様です。たとえアルバイトや臨時の人員であっても、訪問先でトラブルが起きた場合は経営者の責任になります。
ペットシッターとして長く仕事を続けるためには、いかに信頼関係を維持することが重要かを理解し、日々の仕事に取組みましょう。
■フランチャイズチェーンへ加盟する場合のメリットとデメリット
ペットシッターとして独立開業をする方法の1つにフランチャイズチェーンへの加盟という方法があります。
この方法はすでに開業前のサポート、開業後の運営方法がマニュアル化されているので、初めての経営、開業に不安があるという方には心強いといえるでしょう。
この方法のメリットは
・開業におけるサポート体制が整っている
・知名度の恩恵を受けることが出来る
・広告、宣伝の効果、影響が高い
という点です。一方のデメリットは
・月々の加盟料の支払いが生じる
・独自のサービス提供が制限されることがある
・悪評が生じた場合に風評被害のダメージを受ける
という点です。中でも最も負担になるのは月々の加盟料でしょう。ペットシッターの仕事は季節や地域によって利用件数や金額が大きく変動します。
そのため毎月一定の金額が固定費として生じるのは、時には大きな負担になったり、赤字経営になることもあります。
かといってフランチャイズチェーンではどの支店でも同一レベルのサービスを受けられることが客側のメリットですから、支店独自のサービスや割引、料金設定という対策を講じることも難しいでしょう。
またSNS等を通じて、他支店で悪評やトラブルがあった事が拡散された場合、同じ看板を背負う者として同等の評価が下されることもあります。
有名であるがゆえの恩恵もある一方でリスクもあるのがフランチャイズというスタイルです。
またペットシッターとして熱心に仕事に取組み続けると、徐々に地域での知名度が上がり、何度もリピート利用をしてくださる方が出てきてり、口コミだけで新規顧客獲得が可能になるものです。
このような反響は決してフランチャイズの看板によるものではありません。実はランチャイズからの脱退や解約には様々な制限があることも事前に把握しておきましょう。

ペット業界キャリア25年以上。生体販売、トリミング、トレーニングと幅広い経験があり、国内最大手のペット関連企業本部企画業務を10年担当。ペット関連雑誌、サイトへの執筆実績も多数。資格は、トリマー、トレーナー、アロマセラピスト他、幅広く保有。現在は、ペット業界の求職者に向け執筆活動中。