獣医師

犬の骨と関節の病気「骨折と骨と関節のしくみ」について

投稿日:

犬は骨折や脱臼をおこしやすい動物です。骨折は基本、事故によるものがほとんどですが、脱臼は遺伝的要因でおこることがすくなくありません。成育環境や肥満などが発病のきっかけになることが分かっています。

~犬の骨と関節のしくみについて~

★骨のしくみ★

骨は必要に応じて出し入れが可能なミネラル・カルシウム・リンや脂肪の貯蔵庫でもあり、血球を製造する働きを持っています。そのため、骨が損傷を受けたり病気になると、骨折したり骨が変形したり、激しい痛みと発熱を伴う代謝性の骨の病気「肥大性骨異栄養症」「汎骨炎」になります。また骨髄の機能の低下(貧血・免疫力の低下)などをひきおこすことになるのです。

★関節のしくみ★

成犬の骨格を構成している骨の総数は、約321個です。これらの骨は、「長骨」「短骨」「種子骨」「扁平骨」「不整骨」の5つに分けられます。骨と骨が2個以上くっついてちょうつがいのような働きをする所を「関節」といいます。殆どの関節は、弾力性のある「関節軟骨」、その関節骨どうしの隙間を「関節腔」といい、関節が動くときに潤滑油の役目である「滑液・関節液」、その滑液を作る「滑膜」そして関節を安定させて動かすための「線維層」と「靭帯」から構成されています。

犬の骨折

ほとんどの骨折は交通事故や高所からの落下で強い衝撃でおこります。しかし何らかの病気などによって骨がもろくなっていると簡単に骨が折れることがあります。

<症状>

骨折すると激しい痛みや、患部の腫れがおこり、四肢の変形や機能障害、歩行の異常などがいくつか重なって現れます。折れた骨が筋肉や皮膚を突き破って外に出ているものを開放骨折といいます。開放骨折は骨が外界に触れているので細菌感染をおこしやすい状態になります。この開放骨折に対して骨折した部分を皮膚が完全に覆っているものを「閉鎖骨折」といいます。

<原因>

骨折のほとんどが交通事故や高所からの落下で骨に大きな力が加わっておこります。また食餌やホルモンの異常などによって骨がもろくなっているときや、骨に腫瘍があるときなど通常なら骨折がおこらない弱い力が加わっただけでも骨にヒビが入ったり骨折、あるいは骨の変形することがあります。

<応急処置について>

犬が開放骨折の場合、骨が飛び出している部分に清潔なガーゼと包帯を用いて保護します。次に薄く軽い板を清潔なガーゼやタオルで巻いた物を副木として使い骨折した部位と近くの関節を一緒に包帯で固定します。固定する際には、強く締めすぎて血流を妨げないように注意してください。閉鎖骨折の場合も同じように固定し、動かさないように動物病院へ搬送してください。

<診断方法・治療・予防>

骨折の診断方法は主に、骨折をしている部分を中心にレントゲン撮影をで診断します。骨折の部位や犬の全身状態によって撮影する枚数等は異なります。

骨折の治療は通常、全身麻酔を用いて外科的に行います。骨折した部位や場所によって治療法は異なってきますが、飼い主が、処置後の犬の世話もどの処置法を用いるかによって変わってきます。

基本的に「外固定法」「創外固定法」「内固定法」の3つの方法を骨折の状態や部位に合わせて組み合わせたりして治療を行います。

▲外固定法とは▲

骨折した部分を挟んで両側の関節も含めて特殊な巻き方で包帯を巻いたり、副木を当てたり、石膏または軽い素材のキャスト(ギプス)をはめて皮膚の上から固定する方法です。無麻酔でできる場合もありますが、骨折は激しい痛みを伴うので動物の安全や状態を見ながら処置を行います。

▲創外固定法とは▲

全身麻酔を用いて、折れた骨の破片に皮膚の上から複数のピンを差し込み、それらを特殊な枠を使って連結し患部をしっかり固定する方法です。この方法で注意すべき点としてピンを入れた皮膚から細菌などが感染してピンが緩んでくるということが稀におこります。

▲内固定法とは▲

全身麻酔を用いて、骨折した部位の皮膚を切開して折れた骨を直接つないで固定する方法です。この方法では、骨髄の中にピンを入れる方法やワイヤーを骨に巻きつける方法、特殊な金属板とネジを用いる方法などがあります。この中でも最も多く方法が特殊な金属板とネジを用いる方法で信頼のおける術式として広まっています。

~骨折を防ぐ予防方法とは?~

健康な犬が骨折をするとしたら、多くの原因は交通事故や高所からの落下です。犬を外に連れ出すときは必ず首輪や胴輪をしてしっかりとリードを装着するなど普段の生活に十分注意しておけば防げる事故です。また食餌や適度な運動などの飼育管理を適切に行い丈夫な骨を保つ事はとても重要です。その他にも、近年、肥満あるいは肥満傾向の犬が増えています。犬種にもよりますが犬の足は細く体格に合った体重を維持しなければ骨や関節への負担が増え骨折だけではなく他の病気を引き起こしかねません。適切な食餌の量や適度な運動をすることで防ぐことのできる病気はたくさんあります。

投稿者プロフィール

福岡の新人獣医師
福岡の新人獣医師
某獣医系大学に6年間通い、晴れて獣医師になったとある新人獣医師です。某田舎の動物病院に勤務することになりましたが、病院内の掃除や器具の片付けなど雑用も多く、下積みが必要だということで耐えてますが、気晴らしにブログ等書いてます。看護師さんや、獣医学生の役に立てば幸いです。

-獣医師
-,

Copyright© ペットワークス.jp(トリマー等、どうぶつ専門の求人情報サイト) , 2018 AllRights Reserved.

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。