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犬の骨と関節の病気、犬の脱臼。「股関節脱臼・膝蓋骨脱臼」とは?

投稿日:2018年12月5日 更新日:

犬の脱臼とは?

関節を構成している骨どうしが分離して正常な位置からずれた状態を脱臼といいます。また、骨どうしが完全に分離しておらず。部分的にずれたものを亜脱臼といいます。

<症状>

脱臼または亜脱臼の症状は、脱臼した部位や骨のずれ具合、脱臼の原因によって様々です。

主な症状としてあげられるのが、痛み、患部の腫れ、変形、運動機能障害や足を引きずったり足を地面から持ち上げて歩いたり、四肢の長さの短縮などの症状が現れます。脱臼は骨折を伴っていることもあります。

<原因>

脱臼には、交通事故や高所からの落下など外傷が原因のもの、生活習慣のも、先天性のもの、そしてリューマチ性関節炎等の病気によって二次的におこる病的なものとがあります。それらの脱臼が最近生じたものなのか?長年にわたるものか?あるいはいったん治った後に再発したものかによって」「急性」「慢性」「再発性」に分けられます。

<診断方法・治療法>

犬の歩く様子を観察して、レントゲン検査と慎重に触診(直接患部を触る)を行い診断します。

治療法は、関節の障害が明らかになったら、脱臼した関節をいち早くもとの状態に戻します。早くに整復された脱臼は再発が少なくなるからです。脱臼の整復処置は、ごく軽い脱臼を除けば、通常、全身麻酔を施し皮膚の上から行います。しかし交通事故などによって外から大きな力が加わって脱臼した場合は、同時に靭帯の損傷や骨折がおこっている場合があます。この場合は患部を切開して外科手術を行い症状に合わせて固定します。

~股関節脱臼とは?~

骨盤を構成している骨の一つである寛骨と大腿骨の付け根の部分(大腿骨頭)がなす股関節の脱臼を指します。

<症状>

股関節脱臼の場合突然、足を引きずったり足を地面から上げて歩いたり痛みを伴うような仕草そみせます。負傷後すぐは脱臼した足を地面から上げて歩きますが、数日たつと脱臼している足を軽く地面について体重をかけて歩くこともあります。

<原因>

骨盤を構成している骨の一つである寛骨と大腿骨からなる関節を股関節といい、寛骨のくぼみに大腿骨頭がすっぽりおさまっています。ここに交通事故や高所からの落下などによって大きな力が加わると骨どうしを内側でつないでいる靭帯(円靭帯)が切れて大腿骨がくぼみから外れてしまいます。股関節の脱臼が多い理由としてあげられるのが、大きく動く股関節を外側から支える靭帯がないことと、円靭帯は幅が広くある程度の長さがあるものの関節を固定する力が弱いことが理由として考えられます。また事故以外にレトリーバーなどの大型犬の犬によく見られる「股関節形成不全」やレッグ・パーセス病が原因で二次的に股関節の脱臼がおこることもあります。

<診断方法・治療法>

診断方法は、犬の歩行状態を観察し、犬を立たせた状態で股関節の触診を行います。肥満の犬では触診で診断することが難しい時もありますが、この方法でどの方向に骨がずれているか?が分かります。犬の場合、約90%が大腿骨が背中側の前方にずれる脱臼が多いといわれています。次に脱臼している足を上にして犬を横に寝かせ、大腿骨の付け根を回してその動きを見たり、仰向けに寝かせて後ろ足の長さを比べます(脱臼をおこすと、足の長さが変わります)。さらにレントゲン検査で骨折を伴っていないか?確認をしてから確定診断をします。

治療法は、骨折を伴っていない場合は、全身麻酔を用いて皮膚の上から脱臼した関節の修復を行います。早期に処置を行えば、家庭でケージの中に入れて4日~5日間安静にするだけで十分効果はあります。もしその処置後に再び同じ場所が脱臼を起こした場合は、処置を行った後に特殊な巻き方で包帯を巻いて足を動かさないようにして安静を保ちます。しかし皮膚の上からの処置で関節を戻せない場合や繰り返し股関節脱臼を起こす場合、脱臼してから日数が経っている場合、骨折を伴っている場合は外科手術で患部を切開して直接患部を修復することもあります。再発を防ぐ為にも家庭では安静にすることが大切です。

~膝蓋骨の脱臼について~

膝蓋骨の脱臼とは?膝の関節の「皿(膝蓋骨)」がずれるもので、先天性と後天性とがあります。好発犬種としてトイ・プードル、ポメラニアン、ヨークシャ・テリア、チワワ、マルチーズなどの犬に多い病気です。その他、小型犬では、膝蓋骨の亜脱臼が特に多くみられます。

<症状>

膝蓋骨の脱臼は、膝蓋骨が内側にずれる「内方脱臼」と、外側にずれる「外方脱臼」に分けられます。主な症状は「痛み」「腫れ」「破行」で内方脱臼では足の膝から下が内側に回転し、外方脱臼は膝から下が外側に回転します。

膝蓋骨の脱臼は症状によって4段階(グレード1~4)に分けられます。痛みは殆どなく犬が自分で後ろ足を伸ばして脱臼を治してしまうことがあり飼い主が発見できない軽いもの(グレード1~2)から習慣的に脱臼をおこすが獣医師の処置で簡単に戻せるもの(グレード3)そして膝蓋骨がほとんど動かなくなり脱臼した足を地面から上げて歩くもの(グレート4)と分けられます。

<原因>

外傷や先天的な異常で膝蓋骨脱臼はおこります。外傷による脱臼は犬種や年齢に関係なくおこりますが、先天性の先天性の脱臼は犬種によっておこる確率に違いがあります。

<診断方法・治療方法>

診断方法は主に歩き方の観察、レントゲン検査や触診です。脱臼した足を上に横向きで寝かせ、患部を丁寧に触診したり少なくとも2方向からレントゲン検査を行います。犬の性格にもよりますが触診やレントゲン検査を行う場合に痛みがともない触診が難しい場合などは全身麻酔を用いて脱臼とともに靭帯の断裂などを詳しく調べてから確定診断を行います。

膝蓋骨の脱臼および亜脱臼の治療法は主に手術によって治療します。手術の目的は、脱臼の修復と、その足に体重がかかったとき、膝蓋骨がなめらかに動くことにあります。これらの手術には多くの方法がありますが症状と犬の年齢を考慮して選択します。

当記事は、動物看護師や飼い主向けに書き下ろしたものです。

投稿者プロフィール

福岡の新人獣医師
福岡の新人獣医師
某獣医系大学に6年間通い、晴れて獣医師になったとある新人獣医師です。某田舎の動物病院に勤務することになりましたが、病院内の掃除や器具の片付けなど雑用も多く、下積みが必要だということで耐えてますが、気晴らしにブログ等書いてます。看護師さんや、獣医学生の役に立てば幸いです。

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