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犬の目の病気「角膜炎」とは?

投稿日:2018年8月3日 更新日:

角膜炎とは?

「角膜」という目の表面にある透明の膜のことでその角膜に炎症が起きることを角膜炎といいます。

犬の角膜炎は一時的な物である場合と、自己免疫性の疾患でなかなか治らない場合があります。酷くなると目を開らけれなくなり角膜の白濁が進み最悪、角膜に穴が空いて失明してしまうこともあります。

角膜炎の原因

角膜炎の原因は大きく分けて外傷性と非外傷性の2つ。

▲外傷性

外傷性の角膜炎の原因として事故やケンカ、散歩中にホコリやゴミなどが目に入り目を擦ったりシャンプー液や逆まつげや毛が目に入り刺激となっておこる。

▲非外傷性

ウイルス感染症や細菌感染、内分泌系疾患、アレルギー反応によって起こる。結膜炎や緑内障からくる角膜炎以外の目の疾患によっておこるもの。

▲乾燥(ドライアイ)

涙の量が少なくなる病気ドライアイが原因で角膜に炎症が起こり角膜潰瘍がおこる。

角膜は5つの層で形成されておりどこの角膜に炎症が起きるかによって原因、病名や治療法が異なってきます。

角膜炎の症状

▲目を開けにくそうにしている

▲目を痛がる

▲涙や目ヤニがたくさん出ている

▲瞬きの回数が増える

▲角膜が白くなる

角膜に炎症や傷が入ると激しい痛みを伴うので床に擦りつけたり、前足で掻いたりという行動をとります。角膜炎の症状が軽い内は目をショボショボさせたり涙の量が増えたりという症状もあります。角膜炎が進行すると透明な角膜が白く濁り膜が現われます。更にひどくなった場合は、角膜炎を修復しようと正常では見られないような血管が現われます。(血管新生といいます)角膜炎は角膜表面(上皮)だけの傷では無く奥深く(角膜の実質)まで傷が入ることを「角膜潰瘍」といいます。

角膜炎の診断方法

角膜炎の診断方法として一般的な物がフルオレセイン検査です。

フルオレセイン検査とは、黄緑色の色素を用いて角膜の表面に傷が無いか調べる方法です。黄緑色の色素を犬の目に点眼して不要なフルオレセインをホウ酸や蒸留水で洗い流します。角膜に傷がある場合は、傷に黄緑色の色素が残り付着します。その付着した黄緑色の色素が残ることでおおよその傷の深さや範囲が分かり診断出来ます。

角膜炎の治療法

角膜炎の治療は点眼が一般的です。点眼の目的は角膜保護や上皮の再生を促す目的で使用します。その他に細菌感染を防ぐために抗生剤の点眼を併用して使用することもあります。

症状が酷い場合は、外科的に治療を行う事もあります。犬は、人のように眼帯をすることはできません。角膜の傷が深い場合、外部からの刺激を減らすためにも目を保護する必要があります。犬には第三の瞼といわれる瞬膜という膜があります。瞬膜は通常外見では見えない膜です。麻酔を使い瞬膜を引っ張り出し眼球を覆う(瞬膜フラップ)外部からの刺激から守るこができます。その他にも目を専門として診療や治療をしている動物病院では全身麻酔で角膜を取り除き人工レンズ(コンタクトレンズのような物)を入れる手術をしている動物病院もあります。術後の管理の徹底と専門的知識や特殊な医療器具が必要な為、一般の動物病院での手術は行えない手術です。

軽度の角膜炎であれば数日の点眼で治ります。しかし角膜潰瘍が酷い場合は数週間から数ヶ月以上かかることもあります。

自己免疫性の角膜炎やジステンバーや犬伝染性肝炎などからくる角膜炎の場合はそれらの症状に合わせながらの治療が必要です。

角膜炎の予防法

角膜炎の予防方として短頭種であるパグ・シー・ズー・フレブル・ペキニーズ・狆・チワワなどの犬種は目の周りを常に清潔に保つ事と、犬の目に異常がないか?飼い主自身の観察力が必要だと思います。短頭種や犬種によってはドライアイや結膜炎などが引き金となり角膜炎に繋がることも多々あります。他に目の病気がないか定期的に動物病院で診療を受けることも目の病気を早めに見つけることができ早めの治療で防げる病気だと思います。

目の病気は早めの治療することで酷くならないように防ぐことができる病気です。

まとめ

犬の角膜炎は特に短頭種である犬種が好発犬種と言われており鼻が短い分、目が大きく鼻より前に目が出ていることから外部からの刺激を受けやすく角膜潰瘍に進行しやすいことがわかっています。

点眼治療で角膜の傷が治っても後遺症として傷跡が白く残りその傷跡が広ければ広ほど犬の視界を妨げてしまうこともあります。犬の目の病気は治療を行う際、飼い主が点眼出来なかったり痛みや違和感で、床に擦りつけたりと治療が困難な事が多く、エリザベスカラーの内側から前脚が届いて掻いたり、飼い主が気づかないうちにエリザベスカラーが外れたりというトラブルも多いのが現状です。自宅での治療やケアが出来ない場合は入院治療通院で1日に数回点眼の為だけに来院する犬も少なくありません。

日頃から飼い主が自宅での治療が出来るように点眼のやり方や点眼の重要性について指導も必要でしょう。

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